Transactional Analysis 07

交流分析

ストレスと不安

 職場でのストレス、昔は労働環境がストレスとなっていましたが、今は仕事の内容、第一に、転勤・昇進・配置転換、重大な仕事の一任、経営不振などの“質“的な環境の変化。次に仕事量増加・減少などの”仕事の量”などがストレス要因となっています。

 病気の質と内容を見てみますと、約6割がうつ病、仮面うつ病(うつ病のように見えるが、肩、腰の痛みなどの身体症状があり、内科的には直らない場合)、約25%が、過敏性腸症候群、緊張型頭痛、自律神経失調症、慢性疼痛、めまいなどの心身症、約15%が、パニック症候群を代表とする不安神経症が占めています。(某労災心療内科の調査による)
 最近増えてきた不安神経症の大きな特徴は、「息が詰まって今にも死ぬのではないかと苦しみ、15、6分でおさまる」という症例です。家族や周囲の人はその場にいない場合が多く、治療開始が遅くなる傾向があり、早く気づいて薬を服用することが望ましいです。うつ病、仮面うつ病、ノイローゼでも、全体的に底流に流れているものは、「不安」です。人は、気づいていませんが、皆この「不安」を持っています。


No.1 「不安」の種類 

①根源的不安 ―永遠に生きるように思っているが、人は必ず死ぬ。
②分離不安 ―「親がいなくなる」、死、離婚など「別れる」「失う」の源になって起こる不安。
③葛藤不安  ―「こうすべきだ」「いやだ」という心の中の2つの戦い(葛藤)が起きたとき不安をもたらす。
④予期不安 ―「子供が非行に走ったらどうしよう」「また試験に落ちたらどうしよう」など、また起きていないことを非常に心配する。

不安障害者の認知について

 不安障害は、「何か落ち着きがなくて、悪い面ばかり考え、大変なことが起きるのではないか」と考えることが習慣的になっている者を言います。次のような特徴があります。
① 問題状況に対する判断が誤っているか、または極端である。
 具体的には、「大変なことが起こる」「皆から嫌われている」「将来大変なことが起こる」「子供がいつ事故を起こすかもしれない」「リストラになったらどうしよう」などと考えがちです。
① 脅威をもたらす条件が何もない状況で不安になる。これは、自分でこしらえてる部分が多いです。
④「悪い考え方」をする構えは、警戒的状態では、硬直、釘づけ、心拍・血圧上昇が見られ、絶望の状態では、前かがみ、倒れる、心拍・血圧低下がみられる。

 マイナス思考が、自分を洗脳してしまいます。
 人は、「今、ここ」という時点で生きているのに、先のまだ起きてないことを予想して、「もし起きたらどうしたらいいか」と「今、ここ」から離れてしまっている状態です。“不安”になったら、「今、ここ」に戻ることが大切だと思います。
 例えば子供が不登校になった場合、正常者は、「立派な人にも不登校を経験した人はいる」「子供は回り道をするものだ」と、危害を受ける可能性を正確に吟味、評価します。それに対して、不安障害者は、「学校へ行かないと、子のこの将来は、もう駄目」と考えます。
 正常者は、誤って危険と判断した場合は、直ちに修正するのに対し、不安障害者は、電光石火のようにマイナス思考が起こり、「もう人生終わりだ」と最悪の結果にとりつかれます。
 「現実」に関しても、正常者は、「人は間違いをするものだ」「人は回り道をするものだ」「世の中、自分の思い通りにはいかない」など、じっくり現実を見て、時間をかけて情報を集め、トータルに全体を見て判断します。 不安障害者は、「今すぐしないと大変だ」「今、安心しないと大変だ」と、じっくり現実吟味をしません。


No.2 うつ病について 

①リストラうつ病、リストラ自殺

 リストラうつ病、リストラ自殺は、急に死ぬのではなく、自殺当時にうつ病などの精神障害にかかっており、うつ的な状態になっていたと考えられます。
 自殺者のうち、精神科に通院していた人は、約20%で、「過労死110番」によると、5000件の相談のうち、500件(10%)は、自殺の相談だそうです。
これらの主な原因については、
1)徹夜・深夜労働・休日出勤などの長時間、過重な労働
2)仕事目標が達成できない
3)会社の政策と職場との板ばさみに苦しむ中間管理職
4)度重なる解雇の遍歴、退職勧奨を受けて絶望する
5)いじめ、心理的虐待など
が考えられます。
 心の病も体の病も同じなのに、体の病は勲章であるのに対し、心の病については社会的偏見が強く「しっかりしろ」「気が弱い」「情けない」という周囲の目があり、なかなか相談できません。
 たとえば、夫がうつ病の状態にあるとき、この病に対する配偶者である妻と企業の深い理解がとても大切です。頑張らせようとしないで休ませてあげる、支えることが必要なのです。

②見過ごされていた軽症うつ病

 今まで見過ごされていた軽症うつ病について考えてみます。この時期にしっかり治療するとよいといわれているますので、自分で心の状態を判断するチェック項目があるので上げておきます。

a.次のうち少なくとも2つあれば要注意です。
チェック 項目と内容
体がだるく、疲れが取れない
笑顔が少なくなったと言われる
楽しいことよりマイナスのことばかり考えてしまう
怒りっぽくなった
なんにでも興味がわかない
休んでも体が疲れる
朝刊を読まなくなった
TVを見なくなった
1人部屋にこもり家族とのコミュニケーションが少なくなった
これらは著しくなく、持続期間は少なくとも2週間。また多くの場合、家族に言いません。
b.かつ以下のうち少なくとも2つあれば要注意です。
チェック 項目と内容
集中力(根気がなくなった)と注意力の減退(不注意で物を壊した)
自分はだめ人間だと思うし、なんにでも自信がない
罪悪感と自己否定的な気持ちになる
将来への悲観的見方をしてしまう
自殺のことを考えたり、自傷行為をしたことがある
よく眠れない
食欲がない
日常の仕事や社会活動を続けるのに幾分の困難はありますが、完全に機能できなくなることはありません。

こういう症状があることを認めて、早く治療を受けて、薬を服用することが「治る」近道です。
 部下が「死にたい」と言った時は、気をつけましょう。間違っても「死にたいなら死ねよ」「死ぬ死ぬという人は絶対に死なん」などと言うのは禁句です。人が自殺しない理由は、自分が大事だからです。
 本人に、「生きたい気持ち」「死にたい気持ち」のアンビバレンス(愛と憎しみなどの心の葛藤)の心のうごめきがあることに気づかせてあげることが大切なことです。自尊感情(自分を大切にする気持ち)が崩れたとき、人は大きな危機が来ます。特に若年者の部下に対して、「おまえは生きている価値はない」「おまえが生きていいことはない」などと上司は決して言ってはいけません。
次のようなタイプの人がうつ病になりやすい人です。
  ①性格は、まじめ、几帳面、頑張りやさん。
  ②小さい頃に両親を失ったり、別れたりして、支え(愛情)を失った体験が多い。
  ③失恋、仕事の失敗、死別、昇進、新築、引越しなどの生活上の出来事が引き金になる。
  ④子育て、生活的困窮、リストラなど生活上の困難。


③職場におけるメンタル・ヘルスの問題点 

(A)頭でわかることと、心でわかることの違い
「うつは、、、、、、」と説明しても、知識は何の役にも立ちません。

●メンタル・ヘルスを教えることには限界があります。
これは、体験の領域で、本を読んでも治りません。自分自身が、軽症または本格的なうつ状態になって、初めて理解が深まります。つまり、「うつ病はつらいなあ。」「だれもわたしのつらさをわかってくれないという気持ち」とわかるのです。
 では、うつの人に対して、どういうスタンスを持って接すればいいのでしょうか。それは、叱咤激励や励ましではなく、「誰からもわかってもらえないことはつらいよね」と相手の気持ちをわかってあげることです。
「じっくり話を聞いてあげること」「そばにいて、つらさをじっくり味わうこと」です。
「よく眠れた?」「ごはんおいしい?」「疲れてない?」という体からの問いかけをし、「頑張れ」というより、「そういわれると、つらい」という気持ちをわかってあげる。相手が沈黙しても、役に立っていないと考えないでください。
・自分の体の声を聞くこと。
 (おなかが痛いと感じたとき、その原因が心のストレスではないかと考えて見ましょう。)
・苦悩(悩み)を持ったとき、1つの気持ちで言えない不快な気持ちが複雑に絡む。
 気が重い、悲しい、きつい、腹だたしい、重い、だるい、といった体の感覚を言葉に出すことが重要です。(声に出してさけんでみよう)

●社内の相互理解、親睦
・社内の相互理解、親睦が必要というが、休日のスポーツ大会や飲み会は、迷惑をしている人が多い。
・「自由参加」というが、実際は参加しなければならないという暗黙の了解になっている

●非言語コミュニケーションが必要
・コミュニケーションが必要というが、「言葉には限界がある」ことを頭において、雰囲気、目つき、黙って横に座るなど、非言語的な関わり方を大切にしよう。

(B)心の病気に対する無理解と偏見
 心は体と同じように無理をすると、症状を出して苦しむものです。心と体は一体。日本では、精神力を強調しすぎる時代がありました。「心を病む」ことは、何も恥ずかしいことはありません。
 心を病むものは弱い者。”競争社会からの落ちこぼれ“敗北者といった暗黙の共有が偏見を生み、余分なストレスを招いて心を弱体化させます。「ちゃんと働けないのはだめ人間だ」「職を失ったのは能力がない」という考え方は間違いです。

(C)メンタル・ヘルスに不可欠な発想
・自分いじめのゲームをやめましょう。
常識、人目、人の評価など自分の作り上げた虚像にこだわって、苦しんでいませんか?
・ありのままの自分と向かい合う時間を大事にしましょう。
自尊感情(自分を大切にする気持ち)を大切にするのです。
・自分と他人は別々の魂を持っているのだから、違いを認め、尊重することから関係が成り立っているという考えを持ちましょう。


No.3 心身症について 

心身症とは、心と身体が離れてしまっている状態で次の2つのタイプがあります。

1.現実心身症2.性格心身症
現実的なストレス環境に由来するもの。正常な性格の人に過剰なストレス、不適切な習慣が関与する。全体の70~80%を占める ストレスの受け止め方、対処の仕方など、本人の性格傾向に問題のあるもの。性格的な歪みがあり、自らストレス状況を作り出したり、慢性の身体症状を呈したりする。完璧主義、神経質な性格。

①ストレスに関係した性格・特徴

  • ① A型タイプ
     競争心が強く、野心的、積極的に行動して、落ち着かず、短期で時間に追われるタイプ。急げ急げ病。高度成長を盛り上げた人。会社に尽くしすぎる人。アイデンティテイ人間。心筋梗塞など多い。
  • ②失感情言語化症(アレキシサイミア)
     自分の感情を正しく表現できず、表情やファンタジーに乏しい。心身症者に多い。能率、生産性を重視する人。感情を言葉で表すことが苦手な人。「別に・・・・」感情にブレーキがかかる。能面のような人。「悲しい、つらい、寂しい、きつい」など表現ができない。
  • ③感情抑圧
     怒りの感情などが抑圧される為、不満な場面でも怒る事がなく、ストレスを溜め込むタイプ。本態性高血圧症に多い。感情を無意識の中に押し込んで、そのことに気づかない.怒ってもニコニコしている。黒人に多い。“夢”は“願望”を表す。
  • ④過剰適応
     幼少児期の親への分離不安が抑圧された結果、不安を打ち消す為に過剰に相手の要求に応じて行動してしまうタイプ。喘息患者に多い。いい子。勉強しすぎ。仕事をやりすぎ。子育てをしすぎ。母親のご機嫌を損ねたら見捨てられると思う。
  • ⑤燃えつき症候群
     長期間にわたり人に援助する過程で、心身エネルギーがたえず過度に要求された結果、極度の心身の疲労と感情の枯渇を主とする症候群。自殺などが多い。看護師、医師、先生などに多いタイプ。子育てに専念しすぎた母親に見られるタイプ。
  • ⑤ホープレス(絶望)・ヘルプレス(無力感)
     配偶者の死、子供の自立など愛情対象の喪失などによる情動変化。望みも助けもないといったあきらめ感情によりうつ状態となりやすい。
     どうやって生きて行こうか、これから何の為に生きていこうか。心は大丈夫と言っているけど身体の方はブレーキをかけている。
     円形脱毛症、過食症、拒食症は女性に多い。
     愛情対象を喪失した場合。うーーんと悲しむ(泣く)ことは大切です。

☆いい子で自分の感情を表しにくい人(アレキシサイミア)は、心身症になりやすい。


②現代人の性格傾向と心身症

強迫パーソナリティ

a.特色は
 几帳面、完全主義、徹底的(白黒をはっきりさせたい)、強い義務感、責任感、達成努力、感情表出が乏しい。 「こうあるべき自分」を目指して、身体や感情をコントロールする。
b.同類の性格
 A型人間・アレキシサイミア(失感情言語症)

アレキシサイミア(失感情言語化症)

 アレキシサイミアとは、自分の内的な感情への気づきとその言語表現が制約されている状態で、心身症の患者は、アレキシサイミアの傾向が強い。自分の感情を、言葉に表すことが下手な人、表情やファンタジーに乏しい、能率・生産性を重視する人、感情にブレーキがかかる、能面のような人、「悲しい、つらい、寂しい、きつい」を表現できない、「別に、・・・」という言い方をする傾向がある。
☆特徴
  1)感情を言語化することが貧しく、精神障害よりも「喘息、胃潰瘍、皮膚疾患」など身体障害の方を体験しやすい傾向にあり、「つらい、きつい、心配」という形で、表すことが不得意で、ストレスは、体のほうにいってしまう。
  2)「機械的思考」と呼ばれる特有の思考様式で、空想に乏しく、事実を中心に、理論的・科学的な形で物事を細かく説明しようとする傾向。
  3)社会生活では、「まじめ、頑張りや、我慢強い、嫌と言えない、仕事など模範的、お人好し、責任感強い、自己犠牲的、いい子、執着性(凝り性)、仕事中毒的」など過剰適応の状態にある人が少なくない。ノイローゼの人は、「不適応、神経質、心配性、子供のことが気になる、神経過敏で人に助けを求める、不安が強い」傾向にある。

☆親子関係のコミュニケーションに問題がある場合が多い。
 子供が自分の感情を出して、「寂しいのね」「きつかったね」と、親に反応してもらっただろうか?親と子の波長があっただろうか?母と子に豊かな感情のやりとりがあっただろうか?
 今からでも遅くはない。子供に対して、「あなたは、そう思うのね」」「きつかったね」など、母親がその意味を受け取って反応することが大切。
 情緒と知性のつながりがどこかで遮断されていると考えられる。

 アレキシサイミアの人は、怒こってもいい時に、簡単に事実を述べる。万事に控えめ。不当なことをされたら、「怒る」ことは健康なのに、正当な感情を別の感情(ラケット感情)で表してしまう。
 例えば、腹が立ったら、余計ににこにこする、あるいは、自分を責めたり、自己嫌悪になり、うつ状態になる。感情を表すことが怖くて、不安なので、知性的な防衛をしている。過去の不幸な境遇なども、ただ淡々と物語る。受身的で、自分の意思と思えることを述べない。主観的体験や感情的体感を表情、態度で示さない。


No.4 ストレス 

ストレスの七つのタイプ

 人生には、なぜ、病や事故などによる苦痛があるのでしょうか?それを、どう受け止めたらいいのでしょうか?それには、必ず、「意味」があります。ストレスの程度は、自分がそれをどう受け止めるか、それにどう対処するかに大きく影響されます。受け止め方の7つのタイプがあります。ストレスを受けると、自分の今までの生き方が出てきます。

  • 1)不安型
    「もうだめだ」と、必要以上に不安になり、マイナスだけを考える。
  • 2)攻撃型
    「悔しい」、やけを起こして欲求不満になり、当り散らす。
  • 3)諦め型
    「もう治らない」落ち込んで、逃げて引きこもってしまう」。「うつ状態になる」。
  • 4)防衛型
    「まさか私が」、認めると不安になるので「ガンじゃない」と否認する。
  • 5)自虐型
    「自分に非がある」「「不摂生をしたから」「私が悪い」「「私の生き方が悪い」「天罰だ」「「もう少し健康管理をしていたらよかったのに」と考え、うつになる。
  • 6)とらわれ型
     投薬や処置に細かくこだわる。
  • 7)依存型
     赤ちゃんがえりをして、周囲の人(夫や妻)にべったりと付きまとう。見捨てられ不安が強い。

 ストレスの受け止め方に先に述べた、認知のゆがみがあるとストレスが倍加します。

 例えば、子供が不登校になった場合を考えてみましょう。
「私の育て方が悪かった」「この子の一生はもう終わりだ」と考えるか、「人生回り道をすることもあるさ」「暖かい目でみよう」と考えるか。
「大変だ」と考えると、ストレスは大きくなり、「落ち着いて対処しよう」と考えると、ストレスは小さくなります。つまり、ストレスの受け止め方によって、ストレスは大きくもなり小さくもなるといえます。必要以上に自分をマイナスに見たり、1-0思考(黒白思考)をやめて、歪んだ受け止め方を直していきましょう。


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