意味のある偶然の一致
世の中には科学では説明のつかない不思議な偶然がたくさんあります。
私たちが現在生きているこの地球ですが、この地球が今のように沢山の生命が住める星であること自体、実は科学では説明がつかないのです。科学的な計算では現在のような地球は「存在していない」という答えが出てしまうのです。でも、現在地球は存在しています。途方もない偶然の重なり合いです。
日常生活でも、不思議な偶然はたくさんあります。経験はないでしょうか?
例えば、噂をしていた人物が現れた。遠い旅先で知人にあう。必要としていた物を貰う。考えていたことを隣りの人物が話し出す。自分で買ったり、人から貰ったりして、同じ物が集まってくる・・等。数えだしたら切りがありません。
けれど、こんな日常の些細な偶然から、歴史的事件の偶然、勘や予知などの直感、超能力的なもの、また上記の地球が存在する偶然も実は同じ種類の秘密から成り立っているものなのです。
スイスの心理学者カール・グスタフ・ユング(1875年~1961年)は世界に溢れるこの「意味のある偶然」に注目して、世界で初めてシンクロニシティの論文を発表しました。
「シンクロニシティ」はユングがつくった言葉で、直訳すると「共時性原理」、“意味のある偶然の一致”のことです。
普段は気に留めもせず、見過ごしがちですが、貴方の身の回りには今の科学では説明のつかないとこが溢れているのです。
この「意味のある偶然の一致」シンクロニシティとは何なのでしょう?
“意味のある偶然の一致がこの世にあるのなら、きっとこの世の中はこんな仕組みになっているからだろう”という仮説をユングは立てています。
“世の中のもの全ては 繋がっていて 互いに連動している”
世の中には、科学ではまだ発見されていない、ある種の繋がりがある・・・。
この繋がりは、心理学の世界ではよく、氷山に例えられています。
海面から出ている氷山は、普段、私達の意識の表面にでている表層意識。海面から出ている部分より、はるかに大きく、水中に没している部分が深層意識。無意識の部分です。そして、海面からは別々の塊に見えた氷山は、海の底へ行くとじつは全てが繋がっていて一つのものなのです。
意識の奥底ではこの世のあらゆるものが繋がっている。
それがユングのシンクロニシティの仮説です。この繋がりは目に見えるものではなく、普段は意識の底の底に沈んでいて、人間だけでなく、動物、植物、鉱物から、この世にあるもの全てを繋げているのです。そして互いに影響を与えあい、互いに連動して動くもののようです。世の中にある何かが動けば、他のものも影響を受けて動く、といった感じです。
その分かりやすい例に「占星術」があります。
占星術では「宇宙の遠くにある星の動き」と「地上の人間の動き」は連動しているとします。そして未来の星の動きを計算することで、その動きと連動する、人間の行動を予測することが出来るといいます。
占星術を創った古代人は、星と世の中の動きを観察し続けてその実際の経験から、星と人間の関わりを解明していきました。
現代の科学では「星の動き」と、「人間の行動」との間には何の関係もないと言うでしょう。星の動きと、人間の行動が連動する理由もありませんし、占いも100%当たるものではないからです。けれどその確率は“偶然に起きる確率”をはるかに超えるのものであり、そして何故そうなるか、科学では説明ができないのです。
占星術が100パーセント当たらない理由ですが、占星術では、星の動きと、それに対応する人間の動きが全部解明されていないということもありますし、また星の動きが及ぼす力は、あくまでも“影響”ですので、可能性や傾向が強くなっても、最終的に判断をして行動を起すのは人間の意思によるためにあります。
“そうなる可能性は高くなるけれど気持ちの持ちようによってはそうならない”偶然の一致はいつも100%起きる、なんてことはありません。
偶然の一致とは、殆ど起きそうもないようなことが、確率以上に表れることなのですから。
分かりやすい例があります。「足裏反射ゾーン」という言葉をご存知でしょうか?要は足ツボマッサージです。足の裏には体の各部分に対応するツボが集まっています。体に悪いところがあると、それに対応するツボが激しく痛み、そこを揉みほぐすと体の悪い部分も良くなります。
直接的な例では「一人の人間」と、「その人間の一つの細胞」もそうです。一個の細胞には、その人間の遺伝子情報がすべて詰め込まれているのですから。
足裏やDNA、占星術の例、それと同じようなことでこの世界は成り立っているらしい、という事です。
宇宙と惑星、惑星と人間、人間と人間、この世の最も大きなものから最も小さなものまで、全てが繋がっているらしいのです。そして、偶然の一致を起している原因は、宇宙には「物事を結合させる」働きがあるためのようです。「物事を調和させる」働きと言っても良いでしょう。
この働き(原理・法則)は宇宙や自然に調和のとれた運行をさせる原理です。
人間の体の組織が調和して体を維持する働きです。
また、占星術が当たる原理、仲間同士が調和した時うまくやっていける原理、ウワサをした人物が現れる秘密です。 調和させ、私たちを結びつける働きが“偶然の一致”を起している秘密です。
ユングが大きな影響を受けたとみられる哲学者ライプニッツの言葉です。
「すべての人々が宇宙のなかで起きるすべてのことに反応する。そのため、すべてが見える人は、それぞれのなかに、いたる所で起きていること、そして、起きたことや起きるであろうことさえ読み取る」
人間には本来このような能力が備わっているとのことです。仏教で言う“悟りの境地”や“超能力”もこういったことのようです。