手放すというのはちょうど心の中に陣取っていたネガティブな感情を解放することになります。手放せた分だけ心にスペースが生まれることになります。そのスペースには悪いものを新たに入れることも出来ますが、良いものを入れてあげることもできます。
どちらが良いですか。
例えば、もと彼への執着を手放したら、その彼以上に魅力的な人に出会ったり、会社への罪悪感を手放したら、やりがいのある仕事が手に入ったりします。
具体的な訓練方法について、紹介します。
胸のあたりにある真っ黒な執着というものをイメージします。
ほんとにきたなくて、早く取りさりたいですね。
( 実際に、ジェスチャーをしてみます )
自分の両手で、そのものをつかみ「よいしょっ」と言いながら、その物体をとりだして、机の横に置きましょう。そして、エイと言いながら、それを吹き飛ばすのです。
その後、汚れているその手を気のすむまで洗ってください。
これで執着が、あなたから離れました。
信じてください。そう、思い込むのです。
手放すというのはとても大切なことなのです。ぜひ、学んで皆さんの毎日に生かしていただきたいと思います。
◆手放しを妨げる要因について
①寂しさ、孤独、惨めさを感じることに対する怖れ
恋愛やビジネス上の関係ではこの感覚が一番強いです。好きな彼氏・彼女に振られてしまったら、とても辛いし、寂しいものです。でも、私達は「寂しさ」「孤独感」「惨めさ」という感情が大嫌いですから、その感情を感じないように色んな努力をします。
例えば、遠距離恋愛だった場合、日常生活での変化は、意外なほど少ないものですから、たとえ別れてしまったとしても、付き合っているときと同じ気分で毎日を過ごしてしまいがちです。そうするとついつい彼氏がいるような態度をとってしまったり、そんな気分になっていたりして、ずっと引きずってしまうことがあります。
普通に付き合っていた間柄でも、別れた後に彼のことを「傷つけられた」「恨んでやる」「悲しい」というネガティブな気持ちで繋がろうとします。そうすることで心の中にいつまでも彼の存在を残しておくわけです。だから、ここで彼を手放そうとすると「本当に一人ぼっちになってしまう」という不安と怖れが出てきます。
それから、リストラにあったり、会社が倒産したり、あるいは何らかの事情で退職しなければいけないような場合にも同じような感情が出ます。会社や社会を「恨む」「悲しむ」ことで、いつまでも引きずってしまうのです。この場合、幸せな状態からは離れてしまいますし、前に進むことも出来なくなります。
②変化することへの怖れ
例えば、あなたが長年あるコンプレックスを抱えていらしたとします。それをなんとかしたいけど、どうすることも出来ずにいたとします。そうすると、私達にはその状況に適応する能力が備わっていますから、そのコンプレックスを持っている状態が“普通の自分”になってしまいます。つまりは、コンプレックスを感じて、それを責めたり、隠したり、悩んだりするのが“私”と思いこんでしまうわけです。
そうすると、そのコンプレックスを手放してしまったとしたらどうなるでしょう?まるで“私”が無くなるような気がしてしまうのです。これは手放して、自分が変化する怖れを象徴しています。確かに苦しいわけではないけれど・・・幸せでもありません。
③誰かへの復讐のため
あなたを十分に愛してくれなかった誰かがいたとします。それは元彼でも、親でも、先生でも。でも、あなたはそのことが許せない、でも、表立って暴れたり、傷つけてしまえば、自分が逆に攻撃されてしまうかもしれません。そのときに私達は、その痛みにしがみついて、その自分を傷つけだ誰かに向かって「私がこんなに辛いのはあなたのせいです」というメッセージを送りつづます。
この時、「この痛みを手放したら、彼を許さなきゃいけない!」という感情が心の中を占めてしまいます。でも、・・・少なくとも幸せではありません。
④誰かの助けを求めるため
上と似ていますが、自分が潜在的に依存している人に対して「私はあなたじゃなきゃだめ」という状態になることがあります。だから「あなたが助けてくれるまで私はこの痛みを手放さない」と。
この場合は他の人が手を差し伸べたとしても、その手を払いのけて、その痛みにしがみつきます。これは潜在的な癒着も一口絡んでいるようです。少なくともその人があなたを助けるまでは痛みにしがみついてしまうわけです。
手法を紹介します。自分を苦しめているのは何か、その苦しみを手放しましょう。
◆手放すことを選択する
今の状態を受け入れ、それを手放すことを選択しましょう。
「よし、いつまでこんな状態でも仕方ない。手放そう!」と思うのです。しかし、ここで先に挙げたような“手放せない理由(=執着しているもの)”がうじゃうじゃと出てきます。怖れだったり、恨み・辛みだったり、罪悪感だったり。そのマイナスの力に引っ張られるとせっかくの決意も水の泡になってしまいますから、ここは選択しつづけること(コミットメント)が必要です。
理屈では分かっているのですが、自分自身を振り返ると、これがなかなかできません。今の自分の現状を、何か他の物のせいにすることで、自分を守ってきたという事実があります。これを手放すことは、今までの自分を否定することになります。選択できるのは、自分しかありません。勇気が必要です。
①自分を受け入れ、許す
手放すものがあるということは、現状に何らかの問題が発生しているということです。先に挙げた「手放せない理由」にしがみついている状態です。多くはそんな自分を嫌らったり、相手がいる場合は相手を攻撃したりしてしまいます。
でも、ここでは自分を受け入れ、許してあげることが大切です。自分自身の痛みを感じることは惨めだったり、寂しかったり、恐かったりします。でも、そこでは自分がより良くなるためです。
②目標を設定する
『どうして手放すのか?』という目標を設定しましょう。
≪紙に、箇条書きで良いですから、書いてみてください。≫
ここでは自分の心に素直になってみる必要があります。この段階で「心の支え」があるか無いかが成功のカギになります。だれか、支えてくれる人の存在があれば、心強いと思います。
ここが上手にできると、希望の光が見えてきて、わくわく・どきどきする感覚が芽生えてくるはずです。自信があまりなくて、恐る恐る目標設定することになるかもしれませんが、それでもかまいません。何よりも何らかの目標を設定することが大切なのです。そして、もしその目標が間違っていると感じたら、その時にまた修正すれば良いのです。
③決意する(コミットメント)
その目標が曖昧でも見つかったら、改めて「手放し」を決意します。
「執着を手放そう。自分が幸せになるために」と宣言してください。
ここでは「勇気」がとっても大切です。
「腹をくくる」という言い方がありますが、「覚悟を決める。いかなる事態にもひるまないよう心を固める。」ということです。
≪実際にその決意を、紙に書き、目に見える場所に貼り付けると良いと思います。≫
④演じる
≪イメージしてください。心の中にある鳥かごの中に、あなたが手放さなければならないものがいます。バカみたいに思われるかもしれませんが、演じてください。≫
いよいよ、鳥かごから「そのもの」を取り出して手のひらの上に乗せます。
「あなたはあなたの生き方を選ぶ事が出来ます。だから、あなたを自由にします。」
「あなたがこのまま私から去っていこうが、戻ってこようが、その選択をあなたに委ねます」といった、言葉を胸に「そのもの」をのせた手を広げます。空を見上げて、しばしの間、その感じを味わってください。
ここで最大の恐れがやってきます。この恐れを乗り越えることが出来たらもうほとんど手放しは完了したも同然です。人を手放すのであれば人を、仕事を手放すのであればその仕事や残していく人達を信頼する必要があります。
実はこれは手放すモノに対する信頼を与えることと同じです。だから、あなたはこの段階で「信頼する」ことも学んでいます。そして、誰かを信頼するということは、同時に自分自身を信頼する事にもつながります。
自分を信頼すること。そうです、それを「自信」と言うのです。
⑤感謝
感謝は手放しを行う際の最大の潤滑油となります。心の痛みを解放し、人を許し、そして、自分を許すことが同時に出来てしまうほどの強力なツールです。 心から感謝できるようになるためには何度も何度もチャレンジすることが必要かもしれません。
自分が執着していることを手放すことは自信と成長を約束してくれる行為です。そして、手放せば手放せるほど自分が自由になり、楽で、今までよりももっと素敵な良いものが手に入ることを体験することができます。