ストローク

ストロークとは、「あなたはかけがえのない大事な人なのです」という気持ちを、言葉、目つきや態度で伝えることです。例えば、スキンシップ、誉める、認める、ありがとうなど、相手の存在や価値を認めるようなさまざまな刺激をストロークと呼びます。

ストロークとは、もともと「なでる、さする」など体を愛撫する意味の言葉です。これに精神的な意味を加えたものを、交流分析ではストロークといいます。言葉で褒めたり、目で同意を示すといった動作や、もっと広く「私は、あなたがそこにいるのに気づいていますよ」「あなたは、かけがえのない大事な人なのですよ」と、相手の存在や価値を認めるようなさまざまな刺激をストロークと呼びます。

①ストロークとは

 ストロークを与えたり、もらったりする手段には三つの種類があります。
 まずスキンシップです。
 子どもを抱きしめたり、なでたりする行為がこの代表ですが、成人の間でも握手をしたり、肩を叩き合うという形で行われます。また、身体的な接触という意味で、性行為もこの種のストロークになります。
 次に、言葉によるストロークです。
 相手に挨拶したり、話しかけたりして、その存在を認めるのです。褒めたり、励ましたりすることが、この種のストロークの代表的なものです。
最後に、身体的接触や言葉を用いない手段があります。
 まなざし、うなずきなどで相手の存在を認めるというものです。何もいわずに、じっくり相手の話に耳を傾けることも、十分なストロークといえます。
 人間はなぜ、人を求め、コミュニケーション(交流)したがるのでしょうか。それはストロークを交換するためなのです。言い換えれば、自分本位の時間を与えられず、十分にストロークをもらえない人間は、うまく人生を歩めないといってよいでしょう。

 数年前9月のある日の夜7時ごろ、熊本の職業訓練施設で夜間講座があり講師の私が近くの食堂で食事をしていた時のことです。茶髪の若い20歳代前半のおかあさんと、3歳ぐらいの女の子、それに2歳ぐらいの男の子が食堂に入ってきました。夕食なのでしょう。彼女は、うどんを注文していました。
 カウンターで母親が注文している時、母親に隠れてなんですが、その女の子が男の子の頭をげんこつで殴るのです。一度ではなく、繰り返し繰り返し何度も。母親が見ると、知らん振りをします。男の子も、慣れているのか、泣き出しません。反撃することもありません。母親の足にしがみついてむずがっていました。母親は気がついているのかいないのか、ぜんぜん気にせず、「うるさいわね」という感じで、店員に注文しています。
 私はびっくりしてしまいました。その時の女の子の表情、怒るでもなく、表情がないのです。2歳の男の子は、必死に我慢しています。母親は何を考えているのか、家庭内でも日常のことなのでしょう。
 私は、心の中で叫びました。「父親は、夜の仕事をしているのかもしれない。しかし、あなたは母親だろうが。なぜ、家で食事を作らずに安い食堂で外食するのか。なぜ殴っている子供、殴られている子供に関心がないのか。なぜほっておくのか。なぜ・・・。」
 生活に疲れているからかもしれませんが、子供に対する愛情を感じなかったのです。つい、日頃の家庭での生活を想像してしまいました。
私は、ショックで呆然としていました。今でもその時の情景が目に浮かびます。「この子供たちの人生は、どうなるのか、どんな大人になるのか」と考え、その時は涙が止まらなくなっていました。

  交流分析では、人は肯定的なストロークを得られない状態が続くと、否定的なストロークをその代用として求める行動を取るとされています。
 たとえば、子どもが親から肯定的なストロークをもらえないと、ことさら人がいやがるような事を言ったり、行ったりして関心をひこうとします。そして、「うるさいわね」とか「なんでお前はいつも・・・・」とか否定的なストロークを得るようになります。
 子どもにとって否定的なストロークをやり取りする状態が止まらないと「ゲーム」に発展してしまいます。交流分析でゲームというのは、日常生活、職場、あるいは家庭生活などいろいろな場面で繰り返される人間関係の悪循環のようなものです。

団塊の世代が定年を迎えると離婚が増加するという熟年離婚の問題 【百本のバラの話】
 定年退職を迎えた、ご主人が家に帰ってきますと、奥さんが待ち構えています。ご主人は、てっきり「あなたお疲れ様でした」とねぎらいの言葉があるものと思っていると、突然に、思いもよらない言葉を言われるのです。
「あなた、離婚してください。退職金の半分をください。」
「なぜだ、俺は今までお前や家族のために一生懸命働いてきた。なぜ・・・。」ご主人にはまったく訳が解りません。いろいろと話しますが、会話がかみ合わないのです。
 奥さんは、すでに引っ越すアパートを予約しており、それぞれに独立して自分の家庭を築いている子供たちにも話していて、納得ずみなのです。知らなかったのは、ご主人だけだったのです。
「今から、○年前、あの時あなたが言った言葉が忘れられない。」とか、「私は今までずっと我慢してきた。これ以上、一緒にいることが耐えられない。」
「あなたと同じ墓に入りたくない。」
 仕事第一で、家庭を顧みなかったご主人。今まで自分の言う事に反論せず、従ってきた妻が突然反乱を起こしたのです。訳がわからず、「勝手にしろ!!」と怒鳴り散らしてしまいました。
 奥さんは、次の日から、アパートに移って、家には誰もいません。
「どうせ、すぐ後悔して謝って来る。」とたかをくくっていましたが、これまで家事をほとんどしたことがないご主人は、ほとほと困ってしまいました。
 何日かの後、さすがにご主人もたまらなくなり、反省する点もあるかもしれないと考え、思い直して、手に百本のバラの花束を持ち、アパートを訪ねました。
「俺にも悪いところがあった。もう一度やり直してくれ。」と謝ったそうです。
これに対して、奥さんは次のように答えました。
「私は、身勝手なあなたに従ってずっと我慢してきました。私の人生は、あなたに従うだけの人生だったのです。これからは、私の人生を歩んでいきます。」
そして、最後にこう、言われたそうです。「いまさら、百本のバラの花束をもらってもうれしくありません。毎年、一本ずつでもバラの花束がほしかった。」

 どちらがどうだという意見はあると思いますが、条件付ストロークの怖さがわかりましたでしょうか。女性は、進歩していますが、男性は、旧態然とした価値観にとらわれ、家庭や家族、自分を支えてくれる奥様に対する考え方など遅れているのかもしれません。

 家族を守るために、いやな仕事も我慢して、働いてきた。定年になれば、海外旅行をしたり、趣味に没頭したり、だいたい貯金ができていて、年金も保障されており、寿命が来るまで、自宅で家族の世話を受けながら生活し、一生を終える。これが本来の人生だったはずです。
一昔前までのそんな当たり前の家族像が壊れて、核家族化が急速に進み、すっかり様変わりしてしまいました。現在は、ある程度の収入や貯金もあり、孫の世話をしてすごすはずの時期がありません。今自宅で、子や孫に看取られて人生の最後を送れる人はわずかです。
「こんなはずではなかった」「何のための人生だったか」「果たしてこんな人生でよかったのか」「もっと別の人生があったのではないか」など「惑い」の気持ちが心の中に湧き上がってきます。人生の意味は何なのかと考えざるを得ない時期でもあります。


②ストロークの法則

◆まず、人は肯定的なストロークを欲しがります。しかし、これを十分に得られない場合は、否定的なストロークを求めて行動します。

 「背に腹は代えられない」「ないよりまし」ということです。
 親の愛情に不足を感じている子どもは、叱られてもいいから親がこっちを向いてくれることを願います。また、夫の愛情に飢えている妻が衝動買いをしたり、キッチン・ドリンカーになったりするのも、否定的なストロークで挑発しているのです。叱責や罵詈雑言でもいいから、「私に注目してほしい」というシグナルを出しているのです。
 また、条件つきのストロークは、しつけや社会化にとって欠かせないものですが、これだけを与えられ続けると、自分は真のストロークを受けるに値しない人間だと感じるようになります。
 常に他人の価値評価に左右され、本来の自分のあり方を見つけられなくなるのです。成績や偏差値で愛の増減を体験してきた子どもが、受験に失敗して自殺したり、大学に入って無気力症になる例にこの法則が見られます。条件がはずれた時、取り除かれた時に恐慌が起きるのです。

◆ストローク経済の法則

 ストロークの扱いの難しさというものが、ご理解いただけたでしょうか。このうえに、ストロークには「貧しい者はさらに貧しくなり、富める者はますます富を増す」というストローク経済の法則と呼ばれるものがあります。
 ストロークの蓄えは、銀行預金にたとえることができます。
 他人と交換するストロークは、当然、収支があります。プラスの肯定的ストロークを与えすぎて預金高が底をつく状態になると、疲労感や憂うつな状態に駆られ閉鎖的になります。もはや与えることをやめてしまうので、見返りとしての肯定的ストロークが入って来なくなります。子育てに疲れ果てた母親が家に閉じこもっている姿を想像していただければいいでしょう。早晩、彼女は限界にきてしまうでしょう。
 しかし、ストロークの蓄えが75~80%以上もあれば、生き生きとして楽しい気分でいられます。「私は愛されている。私は大事な存在だ」という気持ちのストックがあるのですから、事に当たるとうまくいく場合が多く、その結果さらに自信が増すのです。そして、他人から認められる機会も多くなり、さらに預金が増えるという仕組みになります。
 ゲームは肯定的ストロークが不足しているため、否定的ストロークでそれを補うことが習慣になってしまった人によって演じられる行動です。したがって、ゲームをやめる最も基本的な方法は、相手に対してもっと肯定的ストロークを増やすことなのです。

◆人は肯定的ストロークを受けたことへの反応として、変化・成長する。 気持ちのよい肯定的なストロークを日常のあらゆる場面で交換できるよう心掛けたいものです。

 人は「あなたという人間が大事なのよ」という無条件のストローク、無条件の肯定的関心(尊重)で変化、成長する。
「どんな気持ち?」「話して」「わかりたいよ」とじっくりと相手の立場に立って、わかってあげる。
次のような練習をしてみましょう。
1) 実際に相手の立場になってみよう。
2) 分かったことを相手に伝え返して確かめてみましょう。

人は分かってもらえると、愛されていると感じる。
「言ってきかせる」「指示する」「説明する」「叱咤激励する」「説教する」「アドバイスを与える」「教える」などは肯定的ストロークではないのです。肯定的ストロークを活用して訓練することで、自分自身のストロークを増やすことができます。

 肯定的ストローク(受け取って気持ちが良くなる)か、否定的ストローク(受け取って気持ちが嫌になる)かの判断は、受け取る側が決定します。一人ひとりに物事のとらえ方考え方があり、相手や、時と場合により変わります。また、ストロークは肯定的がよく、否定的は悪いというのでもありません。指導的な立場で「叱る」「忠告をする」「いさめる」他を受けて嫌な気持ちになっても、成長と言う目標、目的を達する上では有効である場合があります。
 「不快になることは悪いこと」的な考え方は要注意です。不快になることは確かに葛藤を生じる辛い状況ですが、この状況を乗り越えることも大変重要です。幼い時にこのような困難や葛藤、不快感など自分に不都合なことを克服する体験を持たないと、自分だけに不幸なことが起こるとか、克服する力、耐える力が自分に無いように感じてしまいます。


③肯定的ストロークの練習

◆与えるべきストロークを他人に与える

 上司、同僚、部下、妻(夫)、子など、身近な人を選び、身体、言語、非言語の三つの種類のストロークを与える具体的なプランを立てて下さい。
 たとえば、上司に対して、明るい声で「おはようございます」とか、「はい、わかりました」と挨拶や返事をする。奥さんに対して「その服似合うよ」とか「今日の料理はおいしいね」という具合です。非言語的なストロークの例としては、子どもと一緒に遊ぶ、同僚の話を聞いてあげる、妻(夫)に小さなプレゼントをする、などがあげられます。
 もしグループが構成できるのであれば、ペアを組んで交互に上司になったり部下になったりしながら、与えたいストロークの練習をするのもよいでしょう。こうした役割演技の他に、グループの一人ひとりに、その人にふさわしいストロークを与えながら一巡する方法もあります。「私はめったに人を褒めない方針だ」とか「言わなくても分かっているだろう」といった考えの持ち主は、この際、思い切ってストローク・パターンを変えてみてはいかがでしょうか。

◆欲しいストロークは相手に要求する

 私たちは「欲しくても、それを求めるのは端(はした)ないことだ」と考えますが、求めないのに、相手が期待に応えないと勝手に恨むのはもっと不健康なことではないでしょうか。求めて断られるのを恐れたり、求めるのを遠慮するのは、幼時から身についた古い感情生活の習性です。自分の中の頓知(とんち)を使って、賢く楽しく要求するプランを立ててみてください。
 女性であれば、夫の無関心を嘆いてばかりいないで「どう、この服似合うかしら」とか「来週の水曜日は、私たちの結婚記念日ですわね」と、一言発言するようにするのです。

 では、身近な人を何人か選び、その人から与えて欲しいストロークを具体的に書き出して下さい。次にあなたの中の頓知と相談して、どうやってその要求を相手に伝えるか、いろいろと方法を工夫してみましょう。
 グループであれば、メンバーの一人ひとりを回って、五円玉、十円玉といった小銭を下さいと頼んでみてはいかがですか。これは要求の練習としてなかなか効果があります。
 直接個人の財布から出すのは抵抗がある場合があります。各自、10円玉を10個ずつ配り、言葉を出す練習をします。
「すみません。十円ください。」なれないと意外と難しく言葉が出てきません。どう言えばもらえるかを考えるのも訓練します。

◆欲しいと思っているストロークは受ける

 まず、肯定的ストロークを受け取らない、あなたの癖に気づきましょう。たとえば「なかなかいいネクタイですね」と褒められると「いいえ、たまたまバーゲンで安く手に入ったものです」などと答えていませんか。
 「よくできましたね」といわれると、すぐに「いいえ、運がよかっただけです」とか、「いつもは、こううまくできないんです」と弁解するのもこの類いです。
 たしかに日本社会では、本心を隠して秘密にしておくことが奥ゆかしいと考える風潮がありますが、健全な人は内心で十分に喜んでいるものです。
 では、今まで身近な人々から与えられた肯定的ストロークを思い出して下さい。自分を軽蔑したり、卑下したりするのをやめて、「ありがとう」「そうおっしゃっていただくと嬉しいです」「あなたからそう言われると元気が出ます」と受け入れて、いい気持ちになってみましょう。
 グループで練習する場合はグループの真ん中に立って、各メンバーから自分についての肯定的ストロークをもらいます。ストロークがうまく受け取れたら、グループが喝采するとよいと思います。

◆欲しくないストロークは上手に断る

 まず、これまでに身近な人々から何か言われて、嫌な気持ちになった体験を思い起こして下さい。また、自分に与えられる否定的ストロークのうちで、特に嫌いなものをリストアップしてみて下さい。たとえば、次のようなものです。
○お前は何の取り柄もない人間だ。
○君は常識が足りないねぇ。
○どうせまた、ミスをするでしょうけどね。
○その服には、そのネクタイは全然合いませんよ。センスが悪いなぁ。
 こうした否定的ストロークには、こちらを陥れようという意図が隠れていますから、冷静に受け止めることが肝心です。先にあげた、あなたの嫌いな否定的ストロークを断る方法を考えて下さい。あくまで中立的な立場を守り、静かに事実を確かめるようにしてみます。たとえば、次のような応答はいかがでしょう。
○君にはそう見えるんだね。
○あなたはそう思うのね。
○なるほど、そうかもしれない。じゃ、どこがおかしいのかな。
○あなたにはそう映るんですね。では、私はどうすればいいのかな。
 否定的なストロークが来た時、それをまともに受けて、「売り言葉に買い言葉」になる喧嘩(ゲーム)をしたり、一人、部屋の壁に向かってじっと悔しがるといった反応をするのは、望ましいものではありません。

◆ストロークが不足したら自分で与える

 まず、自分について褒めていい点、これまでの成功体験、その他何でも肯定的なことをリストアップして下さい。それを鏡のなかの自分に向かって読み上げてみて下さい。
 グループであれば、リストを誰か他のメンバーに渡して、読んでもらうのもよいでしょう。そして「はい、その通りです」と受け入れて、いい気分になるのです。
 自分自身をストロークするのはあなたの中の養育的な?の部分です。あなたをいたわりねぎらうプログラムをこしらえて下さい。
 次のような例を参考にしてみたらいかがでしょう。
○ある心身障害児の母親は、月に一度、子どもの世話をヘルパーに任せて、自分は一日ゆっくり旅行したり、ホテルで過ごします。時には、香水を入れたバス・タブに昼間からゆっくりつかることもあります。これがまた、来たるひと月のエネルギーの供給源になるといいます。
○遠藤周作氏は、自分を大事にする方法として、一流の洋服店に言って、飛び切りいいスーツを一着こしらえなさいとすすめています。自腹を切って最高級の洋服を着ると、無意識のうちに自信が蘇ってくるのです。また、次にボーナスが入った時、高級レストランでフル・コースを食べなさいともいっています。これも目に見えない力を自分に与えることになります。
○もともとストローク不足で育った人は、実の親とは別の、愛情と理解に満ちた他の親に育てられたら、どういう自分になったろうかと想像します。次に生育の過程のストローク欠如の場面を一つ一つ取り上げて、もう一度、肯定的ストロークを与え直します。どんなふうに扱われたら、もっと豊かな自分になれたかを考え、その時に欲しかった言葉、受けたかったストロークを、今、この場で自分に与えるのです。これを「自己再養育療法」(M・ジェイムス)といいます。
 自分のストローク銀行を常によい状態に保ち、他人に惜しみなくストロークを与え、かつ自分も満たされる。これが健全な人間関係のあり方ではないでしょうか。それを実践するために、以上のようなストローク・プランは、きっと役に立つことでしょう。

種類肉体的な領域心理的な領域言語的領域
肯定的ストローク(肌のふれあい)
・ なでる
・ さする
・ 抱擁する
・ 愛撫する
・ 握手する
(心のふれあい)
・ ほほえむ
・ うなづく
・ 相手の言葉に耳を傾ける(傾聴)
・ ほめる(承認)
・ 慰める
・ 励ます
・ 語りかける
・ 挨拶をする

時間の構造化

  私たちはストロークが不足すると、いろいろと工夫してストロークを得ようとします。誰もが良い気持ちになる肯定的ストロークを受け取りたいと望んでいますが、私たちは日常生活の中でどのようにストロークを受けたり与えたりしてすごしているのでしょう。
 ストロークの状況により次の6つに分類することができます。交流分析では、この時間のすごし方のことを「時間の構造化」と言います。

①閉鎖

  ストロークを他人からもらったり、他人に与えることを拒み、自分の殻の中に閉じこもり自閉している状況を言います。
 たとえば、子供が親かや周囲の人たちにストロークを求めても、その求めに応じてもらえなかったり、一人ぼっちにされていたりすると、自分自身の中でストロークをやりとりしてストローク不足を解消しようとします。このようなことを繰り返しおこない、慣れて癖にしてしまうと大人になっても夢や幻覚の中に居続ける時間のすごし方をして、他人とのかかわりに支障をきたします。仕事などで、研究、読書、熟考することは、後述する「活動」になります。

②儀式

 定型化された他人とのやりとりである「挨拶」「祝賀会などでのスピーチ」「隣人への声かけ」などをおこなう時間のすごしかたです。相補的コミュニケーションのところでも説明しましたが、私たちは日常、次のような形式的なやりとりをしています。
A「おはようございます」
B「はい、おはようございます」、今日もいい天気ですね」
A「ええ、本当に。どちらまで?」
B「はい、ちょっとそこまで」
A「じゃあ、また」
B「はい、じゃあ、また」
 この種の挨拶は、余程のことがないかぎり、これ以上、お互いに深入りすることはありません。両人とも、表面では情報の交換を目ざしたやりとりをしていますが、それは形式だけのものと心得ています。相手が簡単な用事をすませにいくのではないと思っても、あえて、それ以上の質問をすることを控えます。ある意味では、この種の儀礼的な挨拶は表面だけをつくろった不純な手続きと言えないことはありません。しかし、当人は直感的に、この儀式の枠から逸脱しないほうがよいことを感じ、また、そう努めるのです。
 何かの行き違いで、お互いの感情がもつれてストロークの交換が途絶えているような際の好ましくない感情を発散し、整理する働きもあります。たとえば、夫婦喧嘩をしていても、夫のためにおいしい食事の準備をして席に着く。気まずい雰囲気でも「いただきます」と言葉を発することにより、「さっきはごめんね」と会話のきっかけになったりします。
 年間行事式典などは、社会生活家庭生活を営む上での精神面を支えていることがわかります。

③雑談

 趣味や日常の出来事など、無難な話題で表面的な対話を行い、ストロークを交換する時間のすごし方をいいます。「井戸端会議」「ノミニケーション」など、仕事帰り、買物の帰りなどに居酒屋や喫茶店で雑談というストロークを交換して、創造力の活性化につながり仕事がうまくいったり、男女の結婚への一過程になったりします。「親密」への橋渡しもします。
 雑談の中にお互いの人間関係がこじれないためのヒントが隠されていることもありますし、いきなりホンネの会話、打ち解けた会話が難しいようなときには、雑談により親近感を感じて核心に入るようなこともできます。
 一方、時間の無駄遣いという批判や能率を阻害するという意見もありますが、なぜ人は雑談をするのか、それはなんのためなんだろうと考えることも大切なことです。

④活動

 活動は、人を対象とするよりも生産的な活動、創造的な活動を媒介にして、ストロークを得るために時間をすごすことをいいます。仕事を成し遂げる。勉学に励む。目標を達成するための活動の結果、達成感、満足感、成就感、自己存在感、自己重要感を味わいます。誉められる、喜ばれる、高い評価を受けるなどのストロークを得ていることになります。
 これらの活動によって得たストロークには、自分自身の能力を発揮し目標を達成し充実した時間を主体的に創造的にすごしたという自己評価としてのストロークと、その仕事の結果に対する他人の評価によるストロークがあります。

⑤ゲーム

 前述しましたが、ストローク不足を補うために私たちは肯定的なストロークを求めていますが、信頼と愛情に裏付けられた真実の交流がないためにそれを素直に表現せず、どちらかというと否定的ストロークを受け取るように行動する時間のすごし方です。他人を操り後味の悪さは残りますが、自分の存在を相手に認めさせるという目的は達成しますので否定的であれストロークは得ることができます。

⑥親密

 信頼と愛情に裏付けられた真実の交流により、時間をすごすことで、コミュニケーションの理想のです。 親密を深めることは純粋な生きる喜びにもつながります。

【哲学する時間の使い方】

人はストロークや生きがいを求めて時間をすごしているという観点からすごし方を考えてみると、「哲学する」「生きることの意味を探る」という時間の使い方も大切だと考えます。これは人間が人間であることの意味を探るという最も本質的な問いかけであり、「気づき」の大切さを説くことがこの講座の目的でもあるからです。
 私たちは今生きています。悩みがある人は過去の自分にとらわれ「今に生きず」に今の時間をすごし、そして、そのことに気づいていません。今の自分が過去を悔やみ悩み、その時間を繰り返し繰り返し考えています。
「過去は変えられない」のに・・・。
 また、未来に対する不安で今の時間をすごしています。まだ起ってもいない事を考えそのストレスで苦しい「今」の時間をすごしています。今を楽しく過ごすために次のような言葉があります。
「過去を許し、現在を認め、未来を信じる」

基本的構え

 交流分析では、幼時に親とのふれあいが主体になって培われた人間と人生に対する態度を”基本的構え”といいます。

心の中に線を引く

 心の中に、一本の線を引いて見ます。すると、その瞬間に物事を自分で無意識のうちに分類してしまいます。横に一本の線を引くことで、上下という概念が生まれます。
「もっと頑張らなければならない。」「自分はダメだ」「なぜこれができないのか」というのは、自分がきめた線に達していないという感情ですから、線の下に自分がいます。その基準は、自分が創り出しているのです。
 但し、もっとお金がほしい、もっと幸せになりたいなどという感情は、線を引くというよりも、ただ現在の不満を述べているだけですが・・・。
「解った」か「解らない」か。「できる」か「できない」かなど、自分で作り出した基準よりも上だったら、OKであり、まだだと思うとNotOKになります。勝つか負けるかも相対的なものであり、失敗か成功かも本人の考え次第になります。
 また他人を判断する場合、良く右か左かで分けます。右派とか左派とか言います。右寄りとか左寄りとか、区別して、判断しがちです。このように、自分という人間をどのように考えるか、また、他人をどのように考えるかは、その人の価値観と密接に関係しています。
いずれにせよ、その基準を創り出しているのは自分です。

ちなみに、その一本の線の上に、それより長い線を書くと「士」という字になります。今、考えうる基準の線のもう一段上に今よりももっと長い線を描くのです。その線の上を目指す心が「士」という言葉の意味です。 心に「士」を持つと、「志」になります。ある方向を目ざす気持ち。心に思い決めた目的や目標。心の持ち方。信念。 これが志です。
 より以上の目標を設定し、そこを目指すことが「士」なのです。人が「士」を持つと「仕」となります。仕える(つかえる)という意味ではなく、人が志を持つ事が「仕事」ではないでしょうか。
 皆さんはどちらの「仕事」をしていますか。
 こうありたい自分と、現状の自分を一致させることができたら、「士」を合わせることができたら、しあわせですね。
 線を引いているのは、あくまでも「自分」であり、自分自身の価値観が表れます。「できる」か「できない」かも、自分が線を引いています。やってみないとわからないのに、「できません」と口癖のようにいう人がいます。自信がないということは、理性ではなく、感情です。言葉でうまく説明できません。
 なぜそう感じるのかを考えると、以下に述べる自分に対する基本的構えが関係していることがわかります。


基本的構え

 交流分析では、私どものP、A、Cの基礎がどのようにしてできるかについて考えます。自然の心(C)、人間らしい理性(A)、思いやり(P)などが育つための基礎工事は、大体3才位までに終わります。
 俗に”三つ子の魂百まで”といわれるように、その頃までがとくに重視される理由は、人間の脳の発達の基礎工事ができるのが、大体3才までだからです。
 子供はみな不安な状態にあります。産まれたばかりの動物の子供達は、放っておいても自然に育ちますが、人間の子供は母親の愛情、母親とのふれあいが絶対に必要です。
 母親が、一心同体の愛情を注ぎますと、子供の心には「こんなに大事にされる自分は大切な存在に違いない」という、自分への信頼が起こります。母親という人類の代表を通して、自分の価値、他人や世界の存在の意味を感じとるのです。
 子供は、母親から大事にされる自分はOK(大事な存在)である、また自分以外の人や自分をとりまく世界も、きっとOKに違いないと感じることになります。
このような自他に対する信頼の基礎になる体験を”基本的信頼”といいます。
 自分を信頼し、人を信頼できるという状態の時に、私どもは一番心が安定した状態になります。このような条件のもとでは、P、A、Cのバランスのとれた成長が一番起こりやすいわけです。

 交流分析では、幼時に親とのふれあいが主体になって培われた人間と人生に対する態度を”基本的構え”といいます。
 人間は幼い頃に、自分と他人に関して、その人独特な物の見方を身につけます。それは、人生に関する、自分なりの結論といってもよいでしょう。そして、この結論は大きくなってから得る生活上のいろいろな結論よりもはるかに強い影響力をもつのです。
 たとえばある人は、”私は価値のない人間だ”あるいは”男はみな獣だ”という結論を得て、人生をそのように見る立場をとることに決めた人があります。そしてこの立場に基づいて、自分の人生ドラマにふさわしい、ある種の役割を演じる人々を選んでいくのです。
 このように、人が自分自身についてどう感じているか。また、他人についてどう感じているか、ということを、人生に対する”基本的構え”と呼ぶわけです。子供は、生まれ落ちてから、学校に入る頃までに、さまざまな体験を通して、次の四つの基本的な構えのどれか一つを身につけるのです。

1) 自分はOKでない、他人はOKである。
 これは、自己卑下、劣等感、抑うつに悩む人達の心境です。
2) 自分はOKである、他人はOKでない。
これは、独善、他罰主義、他人不信などの心境で、攻撃的、反社会的な言動になりやすい構えです。
3) 自分はOKでない、他人もOKでない。
これは虚無的な心境で、人生に絶望した自棄的な生活や、自殺などを招きやすい構えです。
4) 自分はOKである、他人もOKである。

基本的構えでいう”OKである”あるいは”OKでない”をいう言葉や感じの意味は、具体的には次のようなものです。
OKである
安心感がある、愛されている、いい人間だ、生きている価値がある、正しい、強い、楽しい、美しい、できる、役に立つ、優れている、やればうまくいく、自己を実現している、など。
OKでない
安心できない、愛されるに値しない、みにくい、弱い、子供っぽい、無知である、意地が悪い、できない、バカである、のろまである、失敗する、何をやってもダメ、劣る、自己を実現していない、など。

 人生早期に芽生える自他に対する”基本的信頼”は、将来の人間関係に際しての安全弁となり、自他肯定(私もOKで他人もOK)の基本的構えを形成して行きます。ところがもしこの基礎工事に欠陥がありますと、その後の周囲に対する関係のあり方に、ゆがみをもつことになります。
 たとえば、本来何らかの優れた素質をもった子供に、親が不適切な、あるいは拒否的な養育態度(おまえはOKではない!)で臨みますと、その子の人格は(Cが主体)否定されたことになり、その子のCの人格の発展(A、Pへの発展)が阻まれることになります。その結果、当人は成人してからも、その性格のアンバランスに苦しむことになる可能性があります。

 交流分析では、これらのアンバランスは、次の3つの基本的な構えの”ゆがみ”となって現われると考えます。
 交流分析が目指す健康な人間像は、”私も他人もOKである”という構えをもつ人です。この構えの人は、自分のストレスを解消するために自殺したり、閉鎖的になったり、あるいは他人を排斥するような手段を用いません。しかし、この構えは、人がその成長過程で必然的に辿りつく状態ではなく、時間と労苦をおしまずに、自己を訓練することによって培ってゆくものです。
 この上記の表を「心理学のOK牧場」と言います。


自信を持つために

 悩みがある自我状態とは、Pが「やらねばならない」「努力すればいい」「がんばれ」と言っている時、Cが悲鳴をあげている状況です。「もうついて行けないよ」「分かっているけど意欲が出ない」と反応し、「自信がない」と感じていると言えます。「自分はダメ人間と思ってしまう」気持ちを、「そう言う気持ちになることもある」「思いどおりに行かないこともあるさ」と、受け止めると、始めて「どうすればいいか」と考えたり、他のことも考えることができますが、なかなか難しいものです。

“自信がない”状態とはどういう状態なのでしょうか。

  • ①自意識過剰  「自信がない」「自分はダメ人間」と自分をマイナス評価しているが、「人からよく思われたい」「人から好かれたい」という気持ちが強い状態。
  • ②自信過剰  「Iam OK. You’re not OK.」の基本的構えを持っている人で、うまくいったことを主張しすぎる人がいます。実は「自信がないこと」を隠して、自信があるように振舞う状態なのです。(自己愛パーソナリティ)
  • ③自己処罰  自信のある人が、失敗したり、うまくいかないと、自分が許せず、苦しみ、自殺して責任をとるなど、自己を傷つけてゆく状態があります。自信を喪失し、自分が許せません。
  • ④自己満足  「有名人を知っている」など、周りの人を卑下する形を取る人がいます。これも、実は「自信がないこと」を隠して自信があるように振舞う状態なのです。
  • ⑤自己嫌悪  「人一倍、自分はダメ人間」「自分を嫌いで仕方のない人」がいます。これは、禁止令と関係しています。「こうあるべきだ」という声が強くて、「こう感じる」「つらい」という声が弱い状態です。

 人間は意外と強いもので、自分の感情を理解することができれば自分で自分の心の傷を癒して直すことができます。自信を持つことは大切ですが、口で言うほど簡単ではありません。ただ「これが自分なんだ。I am OK。この自分と付き合っていかざるをえない」と諦めて肩の力を抜いてみると、違った考えが浮かんできます。意外と、考えないことはいいことかもしれません。

ストレスと不安

職場でのストレス、昔は労働環境がストレスとなっていましたが、今は仕事の内容、第一に、転勤・昇進・配置転換、重大な仕事の一任、経営不振などの“質“的な環境の変化。次に仕事量増加・減少などの”仕事の量”などがストレス要因となっています。

 病気の質と内容を見てみますと、約6割がうつ病、仮面うつ病(うつ病のように見えるが、肩、腰の痛みなどの身体症状があり、内科的には直らない場合)、約25%が、過敏性腸症候群、緊張型頭痛、自律神経失調症、慢性疼痛、めまいなどの心身症、約15%が、パニック症候群を代表とする不安神経症が占めています。(某労災心療内科の調査による)

 最近増えてきた不安神経症の大きな特徴は、「息が詰まって今にも死ぬのではないかと苦しみ、15、6分でおさまる」という症例です。家族や周囲の人はその場にいない場合が多く、治療開始が遅くなる傾向があり、早く気づいて薬を服用することが望ましいです。うつ病、仮面うつ病、ノイローゼでも、全体的に底流に流れているものは、「不安」です。人は、気づいていませんが、皆この「不安」を持っています。

「不安」の種類
①根源的不安 ―永遠に生きるように思っているが、人は必ず死ぬ。
②分離不安 ―「親がいなくなる」、死、離婚など「別れる」「失う」の源になって起こる不安。
③葛藤不安  ―「こうすべきだ」「いやだ」という心の中の2つの戦い(葛藤)が起きたとき不安をもたらす。
④予期不安 ―「子供が非行に走ったらどうしよう」「また試験に落ちたらどうしよう」など、また起きていないことを非常に心配する。

不安障害者の認知について
 不安障害は、「何か落ち着きがなくて、悪い面ばかり考え、大変なことが起きるのではないか」と考えることが習慣的になっている者を言います。次のような特徴があります。
① 問題状況に対する判断が誤っているか、または極端である。
 具体的には、「大変なことが起こる」「皆から嫌われている」「将来大変なことが起こる」「子供がいつ事故を起こすかもしれない」「リストラになったらどうしよう」などと考えがちです。
① 脅威をもたらす条件が何もない状況で不安になる。これは、自分でこしらえてる部分が多いです。
④「悪い考え方」をする構えは、警戒的状態では、硬直、釘づけ、心拍・血圧上昇が見られ、絶望の状態では、前かがみ、倒れる、心拍・血圧低下がみられる。

 マイナス思考が、自分を洗脳してしまいます。
 人は、「今、ここ」という時点で生きているのに、先のまだ起きてないことを予想して、「もし起きたらどうしたらいいか」と「今、ここ」から離れてしまっている状態です。“不安”になったら、「今、ここ」に戻ることが大切だと思います。
 例えば子供が不登校になった場合、正常者は、「立派な人にも不登校を経験した人はいる」「子供は回り道をするものだ」と、危害を受ける可能性を正確に吟味、評価します。それに対して、不安障害者は、「学校へ行かないと、子のこの将来は、もう駄目」と考えます。
 正常者は、誤って危険と判断した場合は、直ちに修正するのに対し、不安障害者は、電光石火のようにマイナス思考が起こり、「もう人生終わりだ」と最悪の結果にとりつかれます。
 「現実」に関しても、正常者は、「人は間違いをするものだ」「人は回り道をするものだ」「世の中、自分の思い通りにはいかない」など、じっくり現実を見て、時間をかけて情報を集め、トータルに全体を見て判断します。 不安障害者は、「今すぐしないと大変だ」「今、安心しないと大変だ」と、じっくり現実吟味をしません。

うつ病について

①リストラうつ病、リストラ自殺
 リストラうつ病、リストラ自殺は、急に死ぬのではなく、自殺当時にうつ病などの精神障害にかかっており、うつ的な状態になっていたと考えられます。
 自殺者のうち、精神科に通院していた人は、約20%で、「過労死110番」によると、5000件の相談のうち、500件(10%)は、自殺の相談だそうです。
これらの主な原因については、
1)徹夜・深夜労働・休日出勤などの長時間、過重な労働
2)仕事目標が達成できない
3)会社の政策と職場との板ばさみに苦しむ中間管理職
4)度重なる解雇の遍歴、退職勧奨を受けて絶望する
5)いじめ、心理的虐待など
が考えられます。
 心の病も体の病も同じなのに、体の病は勲章であるのに対し、心の病については社会的偏見が強く「しっかりしろ」「気が弱い」「情けない」という周囲の目があり、なかなか相談できません。
 たとえば、夫がうつ病の状態にあるとき、この病に対する配偶者である妻と企業の深い理解がとても大切です。頑張らせようとしないで休ませてあげる、支えることが必要なのです。

②見過ごされていた軽症うつ病
 今まで見過ごされていた軽症うつ病について考えてみます。この時期にしっかり治療するとよいといわれているますので、自分で心の状態を判断するチェック項目があるので上げておきます。

a.次のうち少なくとも2つあれば要注意です。
チェック 項目と内容
体がだるく、疲れが取れない
笑顔が少なくなったと言われる
楽しいことよりマイナスのことばかり考えてしまう
怒りっぽくなった
なんにでも興味がわかない
休んでも体が疲れる
朝刊を読まなくなった
TVを見なくなった
1人部屋にこもり家族とのコミュニケーションが少なくなった
これらは著しくなく、持続期間は少なくとも2週間。また多くの場合、家族に言いません。
b.かつ以下のうち少なくとも2つあれば要注意です。
チェック 項目と内容
集中力(根気がなくなった)と注意力の減退(不注意で物を壊した)
自分はだめ人間だと思うし、なんにでも自信がない
罪悪感と自己否定的な気持ちになる
将来への悲観的見方をしてしまう
自殺のことを考えたり、自傷行為をしたことがある
よく眠れない
食欲がない
日常の仕事や社会活動を続けるのに幾分の困難はありますが、完全に機能できなくなることはありません。

こういう症状があることを認めて、早く治療を受けて、薬を服用することが「治る」近道です。
 部下が「死にたい」と言った時は、気をつけましょう。間違っても「死にたいなら死ねよ」「死ぬ死ぬという人は絶対に死なん」などと言うのは禁句です。人が自殺しない理由は、自分が大事だからです。
 本人に、「生きたい気持ち」「死にたい気持ち」のアンビバレンス(愛と憎しみなどの心の葛藤)の心のうごめきがあることに気づかせてあげることが大切なことです。自尊感情(自分を大切にする気持ち)が崩れたとき、人は大きな危機が来ます。特に若年者の部下に対して、「おまえは生きている価値はない」「おまえが生きていいことはない」などと上司は決して言ってはいけません。
次のようなタイプの人がうつ病になりやすい人です。
  ①性格は、まじめ、几帳面、頑張りやさん。
  ②小さい頃に両親を失ったり、別れたりして、支え(愛情)を失った体験が多い。
  ③失恋、仕事の失敗、死別、昇進、新築、引越しなどの生活上の出来事が引き金になる。
  ④子育て、生活的困窮、リストラなど生活上の困難。

③職場におけるメンタル・ヘルスの問題点
(A)頭でわかることと、心でわかることの違い
「うつは、、、、、、」と説明しても、知識は何の役にも立ちません。

●メンタル・ヘルスを教えることには限界があります。
これは、体験の領域で、本を読んでも治りません。自分自身が、軽症または本格的なうつ状態になって、初めて理解が深まります。つまり、「うつ病はつらいなあ。」「だれもわたしのつらさをわかってくれないという気持ち」とわかるのです。
 では、うつの人に対して、どういうスタンスを持って接すればいいのでしょうか。それは、叱咤激励や励ましではなく、「誰からもわかってもらえないことはつらいよね」と相手の気持ちをわかってあげることです。
「じっくり話を聞いてあげること」「そばにいて、つらさをじっくり味わうこと」です。
「よく眠れた?」「ごはんおいしい?」「疲れてない?」という体からの問いかけをし、「頑張れ」というより、「そういわれると、つらい」という気持ちをわかってあげる。相手が沈黙しても、役に立っていないと考えないでください。
・自分の体の声を聞くこと。
 (おなかが痛いと感じたとき、その原因が心のストレスではないかと考えて見ましょう。)
・苦悩(悩み)を持ったとき、1つの気持ちで言えない不快な気持ちが複雑に絡む。
 気が重い、悲しい、きつい、腹だたしい、重い、だるい、といった体の感覚を言葉に出すことが重要です。(声に出してさけんでみよう)

●社内の相互理解、親睦
・社内の相互理解、親睦が必要というが、休日のスポーツ大会や飲み会は、迷惑をしている人が多い。
・「自由参加」というが、実際は参加しなければならないという暗黙の了解になっている

●非言語コミュニケーションが必要
・コミュニケーションが必要というが、「言葉には限界がある」ことを頭において、雰囲気、目つき、黙って横に座るなど、非言語的な関わり方を大切にしよう。

(B)心の病気に対する無理解と偏見
 心は体と同じように無理をすると、症状を出して苦しむものです。心と体は一体。日本では、精神力を強調しすぎる時代がありました。「心を病む」ことは、何も恥ずかしいことはありません。
 心を病むものは弱い者。”競争社会からの落ちこぼれ“敗北者といった暗黙の共有が偏見を生み、余分なストレスを招いて心を弱体化させます。「ちゃんと働けないのはだめ人間だ」「職を失ったのは能力がない」という考え方は間違いです。

(C)メンタル・ヘルスに不可欠な発想
・自分いじめのゲームをやめましょう。
常識、人目、人の評価など自分の作り上げた虚像にこだわって、苦しんでいませんか?
・ありのままの自分と向かい合う時間を大事にしましょう。
自尊感情(自分を大切にする気持ち)を大切にするのです。
・自分と他人は別々の魂を持っているのだから、違いを認め、尊重することから関係が成り立っているという考えを持ちましょう。


心身症について

心身症とは、心と身体が離れてしまっている状態で次の2つのタイプがあります。

1.現実心身症2.性格心身症
現実的なストレス環境に由来するもの。正常な性格の人に過剰なストレス、不適切な習慣が関与する。全体の70~80%を占める ストレスの受け止め方、対処の仕方など、本人の性格傾向に問題のあるもの。性格的な歪みがあり、自らストレス状況を作り出したり、慢性の身体症状を呈したりする。完璧主義、神経質な性格。

①ストレスに関係した性格・特徴
① A型タイプ
 競争心が強く、野心的、積極的に行動して、落ち着かず、短期で時間に追われるタイプ。急げ急げ病。高度成長を盛り上げた人。会社に尽くしすぎる人。アイデンティテイ人間。心筋梗塞など多い。
②失感情言語化症(アレキシサイミア)
 自分の感情を正しく表現できず、表情やファンタジーに乏しい。心身症者に多い。能率、生産性を重視する人。感情を言葉で表すことが苦手な人。「別に・・・・」感情にブレーキがかかる。能面のような人。「悲しい、つらい、寂しい、きつい」など表現ができない。
③感情抑圧
 怒りの感情などが抑圧される為、不満な場面でも怒る事がなく、ストレスを溜め込むタイプ。本態性高血圧症に多い。感情を無意識の中に押し込んで、そのことに気づかない.怒ってもニコニコしている。黒人に多い。“夢”は“願望”を表す。
④過剰適応
 幼少児期の親への分離不安が抑圧された結果、不安を打ち消す為に過剰に相手の要求に応じて行動してしまうタイプ。喘息患者に多い。いい子。勉強しすぎ。仕事をやりすぎ。子育てをしすぎ。母親のご機嫌を損ねたら見捨てられると思う。
⑤燃えつき症候群
 長期間にわたり人に援助する過程で、心身エネルギーがたえず過度に要求された結果、極度の心身の疲労と感情の枯渇を主とする症候群。自殺などが多い。看護師、医師、先生などに多いタイプ。子育てに専念しすぎた母親に見られるタイプ。
⑤ホープレス(絶望)・ヘルプレス(無力感)
 配偶者の死、子供の自立など愛情対象の喪失などによる情動変化。望みも助けもないといったあきらめ感情によりうつ状態となりやすい。
 どうやって生きて行こうか、これから何の為に生きていこうか。心は大丈夫と言っているけど身体の方はブレーキをかけている。
 円形脱毛症、過食症、拒食症は女性に多い。
 愛情対象を喪失した場合。うーーんと悲しむ(泣く)ことは大切です。
☆いい子で自分の感情を表しにくい人(アレキシサイミア)は、心身症になりやすい。

②現代人の性格傾向と心身症
強迫パーソナリティ
a.特色は   几帳面、完全主義、徹底的(白黒をはっきりさせたい)、強い義務感、責任感、達成努力、感情表出が乏しい。 「こうあるべき自分」を目指して、身体や感情をコントロールする。
b.同類の性格    A型人間・アレキシサイミア(失感情言語症)

アレキシサイミア(失感情言語化症)
 アレキシサイミアとは、自分の内的な感情への気づきとその言語表現が制約されている状態で、心身症の患者は、アレキシサイミアの傾向が強い。自分の感情を、言葉に表すことが下手な人、表情やファンタジーに乏しい、能率・生産性を重視する人、感情にブレーキがかかる、能面のような人、「悲しい、つらい、寂しい、きつい」を表現できない、「別に、・・・」という言い方をする傾向がある。
☆特徴
  1)感情を言語化することが貧しく、精神障害よりも「喘息、胃潰瘍、皮膚疾患」など身体障害の方を体験しやすい傾向にあり、「つらい、きつい、心配」という形で、表すことが不得意で、ストレスは、体のほうにいってしまう。
  2)「機械的思考」と呼ばれる特有の思考様式で、空想に乏しく、事実を中心に、理論的・科学的な形で物事を細かく説明しようとする傾向。
  3)社会生活では、「まじめ、頑張りや、我慢強い、嫌と言えない、仕事など模範的、お人好し、責任感強い、自己犠牲的、いい子、執着性(凝り性)、仕事中毒的」など過剰適応の状態にある人が少なくない。ノイローゼの人は、「不適応、神経質、心配性、子供のことが気になる、神経過敏で人に助けを求める、不安が強い」傾向にある。

☆親子関係のコミュニケーションに問題がある場合が多い。
 子供が自分の感情を出して、「寂しいのね」「きつかったね」と、親に反応してもらっただろうか?親と子の波長があっただろうか?母と子に豊かな感情のやりとりがあっただろうか?
 今からでも遅くはない。子供に対して、「あなたは、そう思うのね」」「きつかったね」など、母親がその意味を受け取って反応することが大切。
 情緒と知性のつながりがどこかで遮断されていると考えられる。

 アレキシサイミアの人は、怒こってもいい時に、簡単に事実を述べる。万事に控えめ。不当なことをされたら、「怒る」ことは健康なのに、正当な感情を別の感情(ラケット感情)で表してしまう。例えば、腹が立ったら、余計ににこにこする、あるいは、自分を責めたり、自己嫌悪になり、うつ状態になる。感情を表すことが怖くて、不安なので、知性的な防衛をしている。過去の不幸な境遇なども、ただ淡々と物語る。受身的で、自分の意思と思えることを述べない。主観的体験や感情的体感を表情、態度で示さない。

ストレスの七つのタイプ

 人生には、なぜ、病や事故などによる苦痛があるのでしょうか?それを、どう受け止めたらいいのでしょうか?それには、必ず、「意味」があります。ストレスの程度は、自分がそれをどう受け止めるか、それにどう対処するかに大きく影響されます。受け止め方の7つのタイプがあります。ストレスを受けると、自分の今までの生き方が出てきます。

1)不安型  「もうだめだ」と、必要以上に不安になり、マイナスだけを考える。
2)攻撃型  「悔しい」、やけを起こして欲求不満になり、当り散らす。
3)諦め型  「もう治らない」落ち込んで、逃げて引きこもってしまう」。「うつ状態になる」。
4)防衛型  「まさか私が」、認めると不安になるので「ガンじゃない」と否認する。
5)自虐型  「自分に非がある」「「不摂生をしたから」「私が悪い」「「私の生き方が悪い」「天罰だ」「「もう少し健康管理をしていたらよかったのに」と考え、うつになる。
6)とらわれ型  投薬や処置に細かくこだわる。
7)依存型  赤ちゃんがえりをして、周囲の人(夫や妻)にべったりと付きまとう。見捨てられ不安が強い。

 ストレスの受け止め方に先に述べた、認知のゆがみがあるとストレスが倍加します。
 例えば、子供が不登校になった場合を考えてみましょう。
「私の育て方が悪かった」「この子の一生はもう終わりだ」と考えるか、「人生回り道をすることもあるさ」「暖かい目でみよう」と考えるか。
「大変だ」と考えると、ストレスは大きくなり、「落ち着いて対処しよう」と考えると、ストレスは小さくなります。つまり、ストレスの受け止め方によって、ストレスは大きくもなり小さくもなるといえます。必要以上に自分をマイナスに見たり、1-0思考(黒白思考)をやめて、歪んだ受け止め方を直していきましょう。


防衛機制の種類

不安には次のような種類がありますが、人はこの不安(悩み)から逃れるためにいろいろに対応をします。交流分析では、これを防衛機制と言います。

①抑圧
 自我状態の子供の心Cが不安になると、無意識の中に入れてしまい、気がつかないように、心の平安を保ちます。「夢」は、自分の心の無意識の部分で、「自分の夜の心の働きで、安全な夜に出でくる」ものです。「夢は願望である」(フロイト)という言葉もあります。
 心の疲れをとるために、人は「夢」を見ます。「夢」は、「投影」であり、自分の中にある「もの(不安)」を外に出そうとします。何度も何度も同じ夢を見る時は「自分が何を避けているか」と考えてみましょう。
 抑圧された人は、どんなに腹が立ってもPの「そんなに怒っちゃいけない」という声がして、表面ニコニコしたり、怒ってないふりをしてしまいます。いじめられているのに、ヘラヘラと笑っているいじめられっこなど。
例)忘却、夢、心身症、アレキシサイミアなど

②反動形成
“逆は相通ずる”と言います。ていねい過ぎる人、頑張りすぎる人、やさしすぎる人、威張りすぎる人など「~すぎる人」には裏があります。不自然に感じてしまいます。正反対がオーバーな人は、どこかでバランスをとらなければなりません。例えば、会社で「ちゃんとしなさい」という人は、自分の家では、「だらしない」人が多いです。だから、自分の中のミスや矛盾に耐えられる人は、健全な人といえます。いんぎん無礼、「~すぎる」、過保護、過干渉などの例があります。

③投射(投影)
 自分の心の問題で、悩みや認めがたい感情を持っていると、それを外に出します。
 例えば、子供が母親を嫌いと思うとき、母親に対して、「ママは僕のこと嫌いだもんね」と言います。母親が「そんなことないよ」と言っても、「ママは僕のこと嫌いだもんね」と言い、その会話を何度もくりかえし、最後に母親が「嫌いじゃないって言ってるでしょ」と怒ると、「ほらやっぱり僕のこと嫌いなんだ」と言って、自分の中のものを、相手の中に投げ入れて楽になるのです。それが、大人になると、自分のとるべき責任を人のせいにする傾向が強くなります。重く心を病んだ人は、投影の固まりになってしまいます。

④否定(否認)
 現実を認めるのが怖いので、現実に直面するのを避け、真っ向から現実をないことにします。例えば、死に瀕した患者の場合、あと半年しか生きられない」と宣告されたら、「そんなことはない」「検査が間違っている」「高い薬を探し求める」ことなどをしてしまいます。幼児虐待をしている親なども、必ず否認します。

⑤取り入れ、同一化
 憧れの人物のまねをしたり、同じように振舞おうとします。
 例えば第二次世界大戦時、ユダヤ人の一部はドイツ将校を真似て自国の人々をいじめてドイツ人に取り入り、自分の命を延ばそうとするというようなことがあったそうです。また、憧れの教師と同じように振舞う、「攻撃者との同一化」=怖くて対決できない人に似ることによって安心したいという気持ちがあります。

⑥合理化
 日頃、会話の中でよくおこなわれていることで、もっともらしい理由で、自分の本当の姿を防衛し、不安を処理使用とします。負け惜しみを言ったり、へ理屈をこねるといわれるような場合です。

⑦置き換え
 不安なもの、認めにくい別の恐怖や衝動を、もっともらしいものに置き換えます。たとえば、高所恐怖症などの症状です。高いところが怖い、車に乗れない、犬が怖い、ガンが怖い、エイズが怖いなど、異常なほど怖がってしまう傾向があります。
 また、転換ヒステリーと言って、例えば脳障害や脊髄の圧迫などがないにも関わらず手足が動かなくなったりすることがあります。「見る、聞く、触る、味わう、感じる」などの五感に出ることが多いのですが、病気を使って不安を処理しようとする症状です。無意識的な衝動や願望が内的に加工され、その象徴的表現として種々の身体的症状が生じ原因が判りません。

⑧取り消し
 子供を叱りすぎたら、何かを買ってやろうとする、罪滅ぼしの行為。
 酒を飲んだ勢いで、部下を必要以上に咎め、説教したことを、翌朝。ちょっと飲みすぎで、ごめんと誤り、取り消して、あがないます。
 何度でも手を洗い、汚れた行為を洗い流す行為で、手ばかり洗うのは、一種のみそぎのような形です。無意識のうちにつばを吐く人もいます。

⑨分離(感情分離)
 感情と知性が離れてしまうことで、たとえば、悲しいとき(葬式のとき)決して涙を流さない人がいます。気丈に振舞っているように見えるのですが、実は、涙を流して悲しむことが正常な状態なのであり、「分離」の状態です。
また、すごい失敗をしたときも落ち込まない人、腹が立ったとき感情を排除して淡々としている人、外では紳士家では暴君の人なども感情が分離している状態です。

⑩知性化
 赤ちゃんを育てることに自信のない人がマタニティブルーやうつ病になります。不安の裏返しなのです。そんなお母さんは、育児書ばかり読んで、知性や情報の方へ偏ってしまい、子供を愛するという基本的な感情を忘れてしまいます。
 若い女性が、同年代の青年と付き合えず哲学書を読んでいるのも、実は不安の裏返しなのです。

⑪退行
 年齢にふさわしくない子供っぽい形で不安を処理しようとします。「赤ちゃんがえり」とも言います。立派な会社の社長が、ホステスさんに子供言葉で甘えたり、病的になると赤ちゃんの格好をしたりします。

⑫補償
 自分にハンディがある場合、過剰な努力をしてしっかりしたところを見せようとする傾向が強くなります。野口英世や田中角栄などのように、劣等感で成功者になる例です。しかし、努力した人の最後の結末は人生墓穴を掘ったり、失敗したりすることが多いともいえます。

⑬感情の内向
 うつ病の人が一番使かっている方法で、本当は怒っているのに、Pが強くて相手に怒りをぶつけずに、自分にぶつけてしまいます。腹が立ったら、相手を責めずに自分を責めるのです。必要以上に自責の念にかられ、自己嫌悪や自傷行為(リストカット、タバコを押し付けるなど)最後に自殺という手段をとることになる場合もあります。
 うつになると、ほとんどマイナス思考で、生きていてもつまらない、失敗ばかりするつまらない人間、自分を大事にしないなどと考える傾向がみられ、自分のマイナス面ばかりを見つめてしまいます。
「私も生きている価値がある」「私も役に立ったことがある」など、自分のプラスの面の材料をたくさん集めて、バランスをとることが大切です。
 プラスのストロークをもらった時、人は変化し、成長するものです。 ⑭昇華
 社会的に認められる形で、自分の感情を高いレベルに、建設的なものに置き換えることで、不安に打ち勝ちます。スポーツ、芸術、建設的な仕事などの分野での成功は、昇華によって得ることができます。

 現在の日本では、引きこもりや対人恐怖症の増加が見られ、自己評価が低い人が多くなっています。小さい時、いじめにあった経験があると、自尊心をもてない場合が多いと言われます。心の中でバランスをとり、時々怒りを出してみたり、不安や不満を安全な場所で出せたらいいのですが、なかなか難しい状況です。
 心身症の人は、ストレスに対する処理の仕方が上手にできません。
 人と接触しないと、人間の心は成長しないのです。相手との違いを認めた時、人間関係がうまくいきます。これがうまくいかないと、ストレスになります。「相手を変えよう」「自分の思った通りに動かそう」とする考えは、相手との違いを認めていないと言うことです。

“相違”を認めると“共生”が生まれてきます。
 親は自分の子供に「私の手足のように動いて欲しい」「私を満足させるように生きて」と願いますが、いつの日か、相手との違いを認めてあげないといけません。統合のとれた心とは相手の立場、相違を認める心です。
 不安は、葛藤から起こることが非常に多く、葛藤を乗り越えた時、心は成長します。
 相手の「自信がない」という気持ちは「つらいだろうな」と思ってあげましょう。
 相手に対して、こう思わないと、相手は「わかってもらえない」という気持ちになります。「今、現在」の気持ちをわかってあげることは、とても大切なことです。「今、ここ」の気持ちをしっかり捕まえることができると相手にわかってもらえたと人は感じるのです。
人間には、“自然治癒力”があります。
“自然治癒力”の大きな働きは、「relax」すること(安心感)で、疲れた心も、休息を与えれば、元の健全な姿に戻ることができます。

「なぜ人と会うことが嫌なんだろうか。」と自問自答します。
今から20年ほど前の30代の頃、住宅販売の営業として飛び込みでまわっていた時、いつも逃げ出したい気持ちがわいてきて、よく喫茶店でサボっていました。毎日「やる気」、モチベーションを保つのが難しかったことを思い出します。
この本を書く中で、「気づき」ました。
 実は、毎日の生活の中に幸せは存在しています。人とのかかわりの中に「幸せ」は存在していますから、人と会わないと「喜び」は得られないはずです。理屈ではわかっているのですが・・・。
自分は何を嫌がっているのだろうとよく考えます。
そして気づいたことは、「自分に自信がない」ということです。だから、人と会って話し始めると、無意識のうちにその人に対する「ねたみ」「うらやましさ」の感情がわいてきて、逆にその人のマイナス面を探してしまう自分に気づきました。(認知の歪み、値引き)
「たいした人間じゃない。知り合いになるほどの人物ではない。」と無意識のうちに他人を拒絶する自分がいました。対人不信、もやもやした恐怖感、孤独感、小さい時から感じていたような気がします。
私と同じような感情を感じたことのある方は多いのではと思います。
 自分の感情と正面から向き合って考えることで、なるほどと納得がいくことがありました。自分の感情を客観的に見つめることができました。
 気づきによって人は変わるといわれますが、私自身に問うとなかなか難しいものです。えらそうなことをことを述べましたが、お前はどうかと問われれば、はずかしい限りです。

パーソナリティ

精神分析を背景に持つ「交流分析」からのアプローチで、心療内科での治療の対象となるパーソナリティの分類です。次の11のタイプがあります。

 完全な人間はいません。その人の性格は個性であると言うことを前提に述べています。普通とちょっとちがう雰囲気を感じたら、以下の症状に照らし合わせて理解すると良くわかると思います。

人の注目を浴びたがる(演技性パーソナリティ) 女性に多く、意図的ではないが、自分を自慢する人。目立ちたがり屋で明るく派手、さっぱりした身勝手な人。
特別扱いされて当たり前と思っている(自己愛パーソナリティ) 男性に多く、重苦しい雰囲気、プライドの高い自己中心主義。自分の行動はいつも正しいと思っている。
ジキルとハイドのような二面性のある(境界性パーソナリティ) 一見、おとなしそうだが、酒を飲んだら人格が変わる。キレると何をしでかすかわからない。専門的治療が必要。
完璧でないと気のすまない(強迫性パーソナリティ) 縁起を担ぐ、生真面目、堅物、完全主義、几帳面過ぎる、喜怒哀楽を表さない、物を捨てきれない、冷たい感じ
一人で何もできない(依存性パーソナリティ) 言われた事はきちんとやる、献身的にがんばる、犠牲的な人。
非常に疑い深い(妄想性パーソナリティ) とにかく人の悪口ばかり言う人。人の言葉を信用しない。
物事の暗い面ばかり見る(抑うつ性パーソナリティ) なかなか良いことが考えられず、「マイナスに考える」「まぐれなんだ」というように、プラス的な考えがない。
決まって物事を引き延ばす(受動的な攻撃性パーソナリティ) 約束を守れない人。「はい、でも」と必ず言い訳をする人。
度の過ぎた引っ込み思案(回避性パーソナリティ) 拒絶恐怖、対人恐怖が強く、人間関係が怖い。
社交嫌いで、1人でいるのが一番いい(ジゾイドパーソナリティ) 1人でいるのが一番いいタイプ
モラトリアム・エリート(団塊世代のリーダー) 自我が強く、プライドが高く、責任をとらない人。

 誤解のないように断っておきますが、この分類はあくまで個性であって、正常な人は自分で心のバランスを取っており問題になることはありません。しかし、何かのきっかけで無意識の感情が爆発するときがあり、誰が見てもおかしいと感じるような行動をみせるようになることがあります。
「いつもの部下と人が変わったような感じがする。」「なぜ、そんなに興奮しているのか。」
そう感じたときは、「心の病」なのです。どんなに言い聞かせても直りませんし、つい、たまりかねて怒鳴ってしまっても逆効果です。後で振り返ると、本人にも良くわからない事件なのです。
 ぜひ、専門家の治療を受けるべきです。「心の病」というと本人にも抵抗があり、なかなかひどくなるまで治療を受けたくないものです。治療は早ければ早いほど直りも早いですから、上司としては、「困ったやつだ」と突き放すのではなく、話を聞いてみてください。

≪追記≫
◆具体的にその診断基準を述べます。
 いつも周りの注意を自分にひきつけようとし、そのために自分の考えや行動を演技的なまでにオーバーに表現します。成人期の早いうちに始まることが多いです。

1. どんな状況、場面であっても、自分が注目の的になっていないと楽しくない。カラオケでふり付きで歌ったのに、周りは歌詞カードに熱中してろくに拍手もしてくれない。途端に機嫌が悪くなり、先に帰ってしまう。
2. 過剰なほど性的に誘惑的、挑発的な態度をとる。その場の雰囲気にそぐわない服装、態度、視線の向け方をしてまでも、見られたがり、相手からの視線、リアクションを求める。
3. 猫の目のように変わる感情表現。「なんて素敵!」「なんてひどい!」など、その場限りのオーバーな表現や、 急に泣き出したり、「死にたい!」などと叫んだりする。興奮しがちで、ちょっとしたことでも怒りを爆発させる。その結果、対人関係も長続きしないことが多い。
4. 自分に注意をひきつけるために、絶えず身体的外見を利用する。叶姉妹のように、極端に自分の肉体を誇示するタイプ。珍しい服やアクセサリーで着飾っては、これ見よがしに振る舞う。
5. 芝居の台詞のように印象的な話し方の反面、内容があまりない。
いつも会話の中心にいて話をリードしているように見えるのに、話の中身は芸能人のゴシップや彼氏自慢、グルメ自慢など、まあどうでもいい内容に終始している。形容詞がやたらに多く、具体的な内容に乏しい。
6. 「悲劇のヒロイン」を演じたり、幼児的な振る舞いをして自分を劇化したり、芝居がかった行動をとる。 スキャンダルさえ売り物にする、落ち目の女優。スキャンダルというネガティブな評価でも、周りが注目してくれれば演技的な自己は満足する。
7. 他人や周りの環境からの影響を受けやすい。とにかく思い込みが激しく、深く考えて行動することができない。 「誰々さんは頭が良くて素敵。。」という他人の評価をためらいも無く、自分のものとして鵜呑みにしてしまう。
8. そんなに親しくないのに、さも親しげな馴れ馴れしい態度をとる。一面識程度の相手に対して、大声で名前を呼んだり、体を密着させて抱きしめたり、大げさな握手をしたりする。

 こういうタイプの人と付き合ってしまったとき、あるいは付き合わざるを得なくなったとき、振り回されるのは常にこちらですし、その結果、さまざまなトラブルはもちろん、精神的なダメージを受けることも少なくないはずです。 そこに何らかの人格的な障害が関係していることは十分に考えられるのです。

≪相手を見たとき、パーソナリティ障害→病気なんだと気づくことで、客観的に対応することができます。ゲームに巻き込まれて振り回されることがなくなります。≫

人の注目を浴びたがる人(演技性パーソナリティ)

演技性パーソナリティとは、かつてヒステリー性格とか顕示性性格と呼ばれていたものです。女性に多く、意図的ではないが、女優やタレントなど、自分を宣伝する人。
PACのCが大きく、目立ちたがりやで不安が強い人
明るく派手で、人を使うのが上手で、けろっとした、さっぱりした自己中心主義

a)どういう思い込みがあるか
私は注目されねばならない(脚光を浴びたい)
私はいつでも、人から魅力的だと思ってもらわねばならない
私が、人生で欲求不満になることは、あってはならない
私が望むものは、すべて手に入れねばならない
感情(喜怒哀楽)は、直ちに、直接表現すべきである
b)いくつかのタイプ
コミュニケーションのために自分の行為を利用するタイプ
異性のトラブルを常に起こしているタイプ
人を操作し、利用するタイプ
c)まずい接し方について
不安や恐怖(高所恐怖、飛行機に乗れない、ガンが怖い)の訴えに耳を貸さず、からかったり、無視する
誘惑的(実は無邪気)な態度に反応し、事を大きくする
相手の感情にほんろうされる
利用されたことに気づくと、激しい怒りを示す
d)望ましい接し方について
不安や恐怖に耳を貸す
こちらに対する評価が激しく変わることを予想し、怒りで反応しない
自己の長所(人から好かれる能力)を活かせる仕事のつかせる(宣伝、販売)
限度内では、時には好きなようにさせる
相手が常識的なふつうのは反応をした時に、関心を示す

特別扱いされて当たり前と思っている人(自己愛パーソナリティ)

 自分は重要な人物でユニークな存在であるという意識が強く、成功・地位や権力の上昇、才気や美貌などへの空想、そういったものを限りなく求めるような人です。
 他人からの評価に敏感で、いつも自己宣伝を考慮していて、他人からの関心や称賛を求め、逆に自分への批判や無関心に対しては不釣合なほどに憤激したり屈辱感を味わったりします。自分に利害関係がなければ、自己顕示の非常に強い人だなと眺めていればすむでしょう。しかし、いったんなんらかのかかわりができてしまうと、のんきにはしていられなくなります。自己中心的な人ですから共感性が欠如しており、そのために、どう付き合ってよいか戸惑います。
 利己的で責任を負うことなく権利だけ主張するので、集団の中で浮き上がり、そうかといって無視すればそのことにこだわって怒りくるうということになります。

重苦しい、プライドの高い自己中心主義、男性の法に多く、激怒する人
代議士、社長、医師など、自分は特別扱いされて、牛耳って支配しないと気にいらない人
自分の行動はいつも正しいと思っている人
「独立心、自信家、自律的、魅力的、思いやり、人当たりが良い、カリスマ的」な印象を与えるが、長く付き合うと、「自惚れ、自己中心的、協調性を欠く、搾取的、冷淡、激怒」のような印象を持つタイプ

◆まとめると次のようになります。
1. 自分の重要性・優秀性についての誇大な感覚。所属する部署は自分なしには成り立たないとか、自分には博打の才能があって連戦連勝だなどと、真偽取り混ぜて業績や才能を誇張する。実際には仕事の実績は上がっていないのに、周りから優れていると認められたがる。
2. 人生における成功(仕事、権力、名誉)やみずからの才能、美しさ、理想的な愛の成就などについて、自己満足的・非現実的な空想にとらわれている。過去の失恋体験、自分はいつも悲劇のヒロインですべては相手が悪いことになってしまう。
3. 自分は普通の人とは違う「特別な」存在であり、他の「特別な」人あるいは地位の高い人たちにしか理解されないという確信。また、そういう「特別な」人や施設(店、集まり)と関係があるべきだと信じている。 高学歴・高収入・眉目秀麗の男しか結婚相手として似合わないという思い込み。 目上・目下の区別に極端に敏感な女性。男性への「さん」「くん」の敬称の使い分けにこだわり、ランク付けをしないと気が済まない。
4. 常に周りからの賞賛と羨望の的になることを求める。自分の重要性・優秀性についての誇大な感覚。 それまでは職場の花であった女性。仕事やオフでも中心的存在で、周りからもちやほやされていたが、若手女性が配属されてからみんなの関心がそちらに移るに従い、次第に仕事への熱意を失い、後輩へのいやがらせまでするように。
5. 特権意識。さしたる根拠・理由もないのに、周りから特別な取り計らいを受けることを期待している。 優先予約、特別招待など、レストランやブティックなどから人とは違うサービスを要求し、それが受け入れられないと癇癪を起こす。
6. 自分が目立つためや目的を達成するためには、他人を利用しても当然と考えている。
7. 共感・思いやりの欠如。他人の気持ちや欲求を認識しようとしない。 自分のプライドが少しでも傷つけられると抗議するが、他人のそれには無頓着。 自分にまつわるエピソードは誇らしげに話すのに対し、他人のことはズケズケとこきおろす。話題の中心にいないと気が済まない。
8. 他人を妬むことが多い。逆に他人が「特別な」自分を妬んでいると思い込む。 
9. わがままで尊大、傲慢な態度・行動。カラオケなどでみんなが自分の歌を聴いて盛大な拍手をしてくれればいいが、歌詞カードに熱中していたりすると不機嫌となり、癇癪を起こしてしまう女王さまタイプ。

a)どういう思い込みがあるか
私は他の人より価値のある特別な人間なのだ
私は私のような特別な人とだけ付き合うべきだ
どんな関係においても私は自分のやり方でやる
私の持っている以上のものを、誰も持っているべきでない
誰でも私を賞敬しなければならない
b)まずい接し方について
相手の思い通りになる
見返りを期待する(ギブ・アンド・テイクは通用しない、テイクテイクテイクの考え方)
相手の発言にしばしば異論を唱える(傷つきやすい自尊心を刺激する)
相手が他者の悪口を言うときに同意する
手取り足取りの援助をする
c)望ましい接し方について
自分の成功体験や恵まれた状況について相手に言わない
相手を対等で、自分の考えを持ったパートナーとして対応する
形式や序列を大事にする(親しすぎる口調、尊敬を欠く行為を避ける)
批判するときは具体的に控えめに行う(行動の一部を変えて欲しい)
できる範囲で相手を積極的に誉める
他者の批判、非難に対しては、その人の立場を説明して、落ち着かせる

ジキルとハイドのような二面性のある人(境界性パーソナリティ)

 ふだんは一見バランスのとれた、時に社会適応もよさそうに見えるけれど、何か大きな心理的ストレスが加わると、たちまち対人関係が乱れてしまいます。相手に対する評価を瞬時にして逆転させたり、楽しい気分から突然攻撃的になるなど感情が激しく鋭角的に変化し、周囲の人は振り回されることになります。
 その時々の気分は明るそうでも、この種の患者の基本的な感情は常に軽い抑うつと不安に満ちているものです。行動化といって、こころの底にある欲動を直接行動によって示すことが多くみられます。

二重性格で、自殺する傾向がある
小さい時に可愛がられなかったが、心の奥では母を求めている
アイデンティティ(本当の自分を確立する)が混乱し、一貫性がない
お金、薬物、酒など、コントロールできない

◆次のような特徴があります。
1. 極端な分離不安。現実または想像のなかで、親しい人から見捨てられることを極度に恐れる。 理性ではわかっていても、想像の中で疑念が生まれてしまい、はっきりした根拠がないまま相手の感情を疑ってしまう。 自分への愛情の向けられ方に過敏な人。愛し方が不十分だと相手を責め立て、愛情の確認を求める。 愛情欲求が強いために、愛情対象が自分から去ろうとすると、異常なほどの努力や怒りを見せる。
2. 両極端(理想化とこきおろし)を揺れ動く他人への評価。 「好きか嫌いか」が対人関係の評価基準になっていて、中間が無い。 ちょっと前まで好きだった人を、手のひらを返すように冷たく扱ってしまう。 大好きで尊敬していた上司から軽いお小言を食らっただけで「嫌い」になってしまう。 相手を理想化したかと思うと、一転してこき下ろすといったように、人に対する評価が極端に揺れ動くので、対人関係が非常に不安定。
3. 不安定な自己イメージ。 自分にとっての「快・不快」が180度変わることがあり、自分で何を考えているかわからなくなってしまう。 アイデンティティーが混乱して、自画像がはっきりしない(同一性障害)。
4. 自分を傷つける可能性がある衝動性。次の二つにわたるもの(5.の自殺行為や自傷行為を除く)。 非常に衝動的で、
(1)ケンカ、(2)発作的な過食、(3)リストカット(手首を切る)、(4)衝動買いなどの浪費、(5)覚醒剤などの薬物乱用、(6)衝動的な性行為、(7)無謀な運転
などが見られる。
5. 自殺行為、自傷行為や自殺を思わせるそぶり、他人への脅しなどを繰り返す。 (「死んでやる!」)、自傷行為を繰り返す。
6. 感情がきわめて不安定。 強い不快気分、いらいら、不安が2、3時間、まれには2、3日間持続する。
7. 絶えず虚無感、空虚感にさいなまれている。 何をしていても虚しく、そのためになげやりになる。
8. 不適切で脈絡のない激しい怒りを持ち、それを抑えることができない。 まわりから性格円満で「いい人」と思われている人が、些細なことで注意を受けたことがきっかけで怒り出し《キレ》てしまう。手加減せずに人を叩いたり、殴ったり、物を壊したりという激しい行動を起こす。
9. ストレスを受けたことによって起こる、一過性の被害妄想的観念、もしくはヒステリー症状。 ストレスがあると、妄想的な考えや、解離性状態(考えがまとまらない状態)が生じることがある。

a)どういう思い込みがあるか
私は最後には見捨てられるのだ
私は自分が誰であるか確信が持てない
怒りが私を支配する.私は自分の行動をコントロールできない
私の精神的苦痛は、耐えがたいほど強い
感情は私を圧倒する。私は感情をコントロールできない
b)まずい接し方について
「甘えている」「悪意を持っている」など相手を感情的に評価する
患者を一人で抱え込んでしまう
相手の怒りに反応して、こちらが攻撃的になり拒絶する
治療者から離れようとする試みを許さず、深追いする
要求に対して何でも許容する
c)望ましい接し方について
相手が何を一番求めているか(「拒絶しないで受け止めて欲しい」「見捨てないで欲しい」)を受け止める
「ここまではできるが、これ以上はできない」と限界を設定する
「Kick me game」に乗らずに、支えてあげる
難題を持ってくるが、どうしていいか困ったときには、正直に困ったと言う
できるだけ大勢で抱える態勢で臨む
状態が安定していれば.「これができた」という喜びを持たせる

完璧でないと気のすまない人(強迫性パーソナリティ)

 新聞によりますと、日本人の約20%に強迫傾向がみられるそうです。これが、ちょっとすすんで執着が強くなると、うつ病の傾向と考えられます。
ウオシュレットは、外国にはあまりありません。電車の時間が正確で、丁寧なアナウンスなど、日本は強迫的な国と言われています。
 親の躾が厳しかったかどうかが強迫傾向に影響を与えることが分かっています。このような方は、小さい頃から植え付けられた考え方、物の見方、受け止め方=「べき主義」があります。とかく、「何々すべきである。」という傾向です。
 また、「人の悪口を言ってはいけない」と、自分の中のP(両親の自我状態)が強い為、嫌なことを人に話してもすっきりしません、カウンセリングを受けても、どうしてもよくならない傾向があります。
 性格的特長として、縁起を担ぐ、生真面目、堅物、完全主義、几帳面過ぎる、喜怒哀楽を表さない、物を捨てきれない、冷たい感じなどがあります。
「学校へ行く子は良い
子、学校へ行かない子は悪い子」「100点はよくて、95点はだめ」など、行動で価値判断する1―0思考ともいいます。 「成績第一、ノルマ必達」営業マンを厳しく叱ります。
病的になると、「手ばかり洗う、1日何度も入浴する、トイレットペーパーを使いすぎる、ドアなど何度も確認する」など、強迫ノイローゼになり、とても疲れる人です。
厳しく育てられた、親に確認しながら育ったなど、自分をこんなに育てたことに対して、親への怒りがあります。
たとえば、食行動異常、書痙(きちんと書こうとすると手が震えて書けなくなる)
→「お祝いの席で、マイクを持つ手が震えてとまりません。」   ・自分の身体を真の意味で大事にしない。
  ・身体を一つの道具、心が支配する機械〔乗り物〕とみなす。
たとえば、「美しい身体」 = 「性能の良い身体」……激しいエアロビクス、ダイエット
  摂食障害……下剤、利尿剤をつかう。
たとえば、過敏性腸症候群、不潔恐怖症。
  ・抑圧:受け入れがたい経験を意識から締め出す。
  ・感情:不安、罪悪感。
  ・二つの自己像(よい私、わるい私)を同時に意識している。
  ・「わるい私」を「よい私」にすべく、自己と外界をコントロールしようと努める。

◆次のような事例はありませんか。
1. 細目、規則、順序、構成、予定表、一覧表など、「段取り」にとらわれすぎ、仕事や日常の行動などで本来の目的を見失ってしまう。
机の上が少しでも乱れていると仕事にならないと称して、一日に何回も整理整頓しないと気が済まない。「忙しい、忙しい」を連発しながら、その作業にかなりの時間をとられ、肝心の仕事が疎かになってしまう。経理係長。リストラ、経費節減のお声掛かりを受けて、部下にその日のうちに一円まで帳尻が合うように収支計算を要求する。残業代やら夜食代はどこへやら。。。
2. 完全主義を目指すあまり、課題を達成できなくなってしまう。 
 三大紙の経済欄に隅から隅まで目を通すことを長年、仕事上の日課にしていた営業課長。営業不振のあおりで早朝の会議が多くなるやらで読み切れないことが多くなり、最初は女子社員にスクラップを頼んでいたが、次第にそれも滞りがちになり、ついには新聞そのものにも目を通さなくなった。
 医学部学生。授業にはちゃんと出でテスト対策は万全なはずなのに、完璧を期すために教科書を最初から読み直し、結局、テスト前日になっても半分しか進まないありさま。おかげで留年の羽目に。
3. 自分の趣味や友人との付き合いを犠牲にしてまで仕事と生産性を上げることにのめり込む。
 商品開発会社の企画課長。欧米のものを真似た商品企画を連発し、勤務時間は午前三時、四時までが当たり前。家には寝に帰るだけの毎日を送っている。
花形部署と課長に憧れて転属してきた若手社員も、部の慰安旅行のときにも仕事の話しかしないワーカホリックぶりに愛想を尽かしている。
4. 道徳、倫理、価値観について過度に誠実で良心的かつ融通がきかない。
 ペット飼育禁止のマンションの住人。住人のひとりが密かにイヌを飼っているのを目撃し、散歩に連れ出しているところを小型カメラで撮影した写真を、掲示板に貼り出して告発した。告発方法の異常性の方が理事会で問題になり、写真は即刻剥がされることに。
セクハラ論争がかまびすしいとはいえ、酒宴にはちょっとした下ネタはつきもの。職場の飲み会でその類の話が出てくると、いたたまれず席をはずしてしまうOL。
5. なんの思い出にもつながらないのに、使い古し、あるいは価値のない物をなかなか捨てられない。昨今の「捨てる技術」ブームに逆行する「捨てられない症候群」。古新聞を何年分も溜め込んだり、着るつもりのない古い服や分けのわからない貰い物も捨てられずに部屋を占領してしまう。
6. 他人が自分のやり方通りに従わないと、仕事を任せることができない。あるいは一緒に仕事をすることができない。部下が提出した報告書に対して、内容は問題ないのに、書式が自分のフォーマットと違っているから、言い回しが自分の好みではないからなど、重箱の隅をほじくるようなことにこだわって訂正を求めたり、 自らがやってしまったりする。 
7. 貧乏と言うわけではないのに、他人のためはもちろん、自分のためにもケチくさいお金の使い方をする。お金は将来の破局に備えて蓄えておくべきだと思っている。「自分は飲まないから」という理由で部内で集めている月500円のお茶代を出さない。残業のときも食事をとらず、残業食事代(500円)をそのまま懐に入れる。酒もタバコもやらず、遊び事はもちろん、付き合いも一切せず、「仙人のようだろう」と自画自賛している。 
8. 人格的・性格的に硬さと頑固さを示す。部下(同僚)に結婚披露宴への出席を求められたとき、「休日は自分の時間だ」と言って断る。上司から「たまには一杯付き合え」と誘われたとき、「それは仕事ですか?プライベートですか? 」 と真面目な顔をして言う。また、一緒に酒を飲んでいても、見たいテレビ番組の時間が近付くと、その場の雰囲気を無視しても席を立とうとする。

≪運輸会社の営業課長(38歳)の例≫
 日ごろから何でもないことまでひとりで大騒ぎしたあげく、大問題にしてしまう。得意先からの単なる問い合わせの電話でも自分で処理しなければ気が済まず、結局は大騒ぎになってしまうことも再三再四。
 なるべく課長には電話を取らせないようにしているものの、部員の手がふさがっているときに電話に出てしまうことがあり、みんなは、「お願いだから余分なトラブルを起こさないで」「何も言わずに聞くだけにしてほしい」と聞き耳を立てています。だが、課長には部下たちのそんな思いは伝わらず、部員同士の単なる事務連絡のやりとりにまで、口をはさんできます。

 この課長のように、瑣末なことにまで口を出してうるさいタイプは、支配欲求が強く、すべてを自分の支配下に置き、把握しておかないと安心できない人です。つまり、不安感と強迫観念がかなり強い性格といえます。
逆に言えば、自分に自信が無いのです。
また問題を大きくして、さも自分が一生懸命仕事をしているかのようにアピールする場合もあります。
これはマッチポンプみたいなもので、困難な問題を解決する自分と言う、作られた自己像に酔っているのかもしれません。仕事がトラブったりすると、周りは青くなっているのに、テンションが高くなって、妙に張り切ってしまうような人が、結構身近にもいませんか? 本人の性格や能力が役職とつりあっていない場合によく見られます。
こういうタイプの人は、祭り上げるに限ります。
 たとえば、「課長は部全体を見回して、もっとグレードの高い仕事をやっていただかなければなりませんから」と、現場のあれこれ細かい仕事からは遠慮願うことです。部員のひとりだけでやっても効果はありませんから、部員同士で示し合わせてやってみるほうがいいですね。
要は、この課長の場合、自分に対する周囲の評価に気付いていないわけですから、「裸の王様」であることをいかに気付かせるか、にみんなのエネルギー を集中すればいいんです。個人的には腹が立っても、「課長が全体を見てくださるので助かります」とでも持ち上げておくといいでしょう。上司は選べませんから、あきらめずにどうサバイバルするかを冷静に考えることです。

a)どういう思い込みがあるか
人生には厳密なルールがある。規則に従っていれば、すべてうまくいく。
細かいことに注意することで、失敗する危険を減らせる。
感情はコントロールされるべきである。
いい仕事についていれば、いい人である。
少しでも価値があると思われるものは、捨ててはいけない。
b)2つのタイプ
極めて完全主義的、非妥協的で硬い性格の人。外見からそう見える。
自分の強迫性を自覚して、欠点を直そうとしている(実際は直せない) 穏やかなタイプ。
c)まずい接し方について
「適当に」「疲れない程度に」(一番嫌いな言葉)などの曖昧な表現や指示をする。
  →相手が部下の場合「適当にがんばりなさい。しすぎると体を壊しますから。」
  →相手が上司の場合「そんなにがんばらなくてもいいんでしょ。」
不安だからやるのに、強迫的な言動の背後にある不安や心の乱れを指摘する。
  →相手が部下の場合「何をそんなに怖がっているんだ。おかしいよ。」
  →相手が上司の場合『社長の顔色を伺っているんですか。』
「部下にやさしくしないといけない」など、全面的に態度を変えるように要求する。
  →相手が部下の場合「もう少し、協調性を持ってもらいたい。」
  →相手が上司の場合「部長、今の言葉、撤回してください。」
根負けして相手のペースに巻き込まれる。
強迫的な言動をからかったり、皮肉ったりする。
  →相手が部下の場合「そんなにまじめで、疲れない。」
  →相手が上司の場合「はいはい、どうせダメな社員ですよ。」
d)望ましい接し方について
事実を、感情を交えずに説明する。(例;1日何回、一回に何分など具体的に)
  →「あと1時間でできますか。」
相手の行動に理解を示し、パートナーとして協力を求める。
  →「一緒にやりましょう。」「助けてくれませんか。」
計画を急がせたり、突然変更したりしない。(計画が狂うと不安になる)
短所が長所になる仕事を任せる。(例;個人的な信用を必要とする部署)
  →「経理や労務管理」など、金銭を扱う仕事に向く。
上手な休暇の取り方、リラックスする楽しさを共に考える。
  →「確認する回数が減った。手を洗う回数が減ったよね。」などという見方をして、完全に変えようとしない。
  →「以前よりは、良くなったよ。」

『不合理な信念と合理的な信念の例』(エリス1970)

「思い込み」は以下のような不合理な信念にもとづいていることがあります。確認してみてください。参考資料

不合理な信念 合理的な信念
1)自分のなすべきことがすべての人々に愛されることが何が何でも必要だ。 自己の目的の達成を評価したり、愛することに関心を向けることができる。
2)ある種の行為はとりかえしのつかないもので、そうした行為をする者は罰せられるしかない。 不適切な行為や誤ちは起こりうるし、またそれらに対して無頓着であることも、そうした行為をしない人間になることもできる。
3)物事が望ましい事態にないということはとんでもないことだ よくないことだが、事態が変わるとよくなる、もしそれが不可能なら、とりあえず受け入れるほうがよい。
4)不幸は他人や外的出来事によって引き起こされる。 情緒的な問題は自分の受け取り方などで起こる
5)危険なことや怖いことに人はひどく混乱するものだ。 そうした事態に冷静に対処した方がよい、避けられないならやむをえない。
6)人生の困難や担うべき重荷には、直面するより避けるほうが楽である。 安易なやり方は長続きしない。
7)自分自身に頼るよりも、他人や強いものや偉大なものに頼ることが必要である。 あえて自分自身で考え、行動するほうがよい。
8)あらゆる点で能力に優れ、知性に富み、ことを成し遂げるべきである。 人はいつも完全にことを成さねばならないということはない。不完全な創造物としての自分、人間としての限界を持つ自分を受け入れるほうがよい。
9)あることが人の人生にいったん強い影響を与えると、それはいつまでも影響し続ける。 人はそれぞれの過去の体験から学ぶことができるが、それらに今なお拘束され、害されるということはない。
10)物事に対して完全にコントロールしなくてはならない 世の中はいろんな可能性やチャンスにあふれており、そうであっても人生を楽しむことができる。
11)人間の幸福は自然と訪れるものである 人間は創造的な目的に向かっている時や、他の人々のためなどに自分の持てる力を発揮している時がもっとも幸福である。
12)感情はコントロールできないし、どうしても感情的になってしまう 破壊的な感情を引き起こす固定的で不合理な考え方を変える努力を自らが行えば、そうした感情をコントロールする力を身につけることができる。

●「べき思考」の人へのアドバイス
ありのままの自分を受け入れましょう。
背後の恐怖の原因を探りましょう。
なぜ落ち込むのか」「何が怖いのだろう」と考えてみよう。
成し遂げなかったことよりも、やり終えたことを数えましょう。
自分のおかしい行動には、おかしい心=マイナス思考が働いている事が多い。うまく行かなかったら、間違いから何か学べるのではないか、間違うこともあると考えましょう。
楽にできる仕事をたくさんして、成功をどんどん収めて、「よくできた」という感情を貯金しましょう。
目標を100%以下に下げて、それを楽しみましょう。
人生、8割でも、六割でもいいじゃないかと考えましよう。

≪イラショナル・ビリーフ≫
たとえば弁護士になりたくて資格取得に向けて努力している人がいたとします。この人が「弁護士になりたい、だからもっと勉強しよう」と考えるのと、「弁護士になりたい。なれないなら、自分はダメだ」と考える場合とでは何が違うのでしょうか?
それは後者に非論理的な思いこみ、イラショナル・ビリーフが存在するのだそうです。
イラショナル・ビリーフとは、上の例で言うなら「資格をとれない → 自分はダメ」という非論理的な飛躍のことを指す言葉です。
現実的に考えるなら「資格をとれない」のあとに続く言葉は「残念だが、世界の終わりではない」、「もう一度がんばろう」、「この経験を他のことに活かそう」といったものです。心の中で「自分はダメ」という言葉を繰り返している場合に、そうしたゆがんだ思い込みが逆にそれを生み出した心自体を蝕んでしまいます。
上の例はわかりやすいですが、次の場合はどうでしょう。
人から批判をされた場合に腹を立てることは多いと思いますが、この不快感はどこから生まれるのでしょうか?
「批判」→「怒り」と直結していると思う人は多いと思うのですが、「批判」→(人は私に批判をいうべきではない)→「怒り」という図式です。
真ん中に入っているのが、心が自分に言い聞かせているビリーフです。実際には批判を 100% 免れうるほど完璧な人なんていないのですから、この考えは非論理的です。
ここで注意したいのは、何も聖人のように批判されてもすましているのが健全だと言うのではなく、批判が当たっているなら真摯に反省し、批判が的外れならそれを指摘するという選択肢があるにも関わらず、その論理的なステップを踏まずに「怒り」に直行している場合は要注意だということです。


一人で何もできない人(依存性パーソナリティ)

日常生活の広い範囲にわたって、「世話をされたい」という過剰な欲求があり、そのために従属的でしがみつく行動を取ります。
心の奥に罪悪感があり、自分を罰する傾向がある。
見捨てられるのが怖い。
尽くす女、昔タイプのお嫁さん、夫なしでは生きられない人、夫が死んだらもう駄目。
言われた事はきちんとやる、献身的に、犠牲的な人。
助けてもらえる限り、実力が発揮できる人。

◆次のような事例はありませんか。
1. 日常生活の瑣末(さまつ)なことを決めるのにも、周りからの有り余るほどの助言・保証がなければできない。 季節の洋服を買うのにも自分では決められず、好きじゃないと思っても家の人や友人の判断に任せてしまう。飲食店でのメニュー選びがひとりではできない。
2. 生活のほとんど主要な領域で、他人に責任をとってもらうことを必要とする。30歳の既婚のキャリアウーマン。何度も管理職への昇進を勧められても、その都度拒否。「人を管理する責任を負いたくない」という彼女は、高校・大学進学、就職先選びも見合い相手も、親の意見に任せっきり。
3. 相手から支えてもらえなくなることを恐れて、自分の意見を言えない。「今年こそ巨人が優勝だよな」と言われた時、自分では中日が強いと思っていても、反論されるのが嫌で、「うん、そうだね」となってしまう。 かと思えば、「でも、横浜も強いよね」などと切り返されたりすると、これにも「やっぱり最後は横浜だよね」と、無定見の極み。
4. 自分の判断、能力に自信がないため、自分の考えで計画を立てたり、行動することができない。 グループ旅行では、自分で計画が立てられないため、結局、他人任せになって、行きたくないところへ旅行するはめに。 それなのに、行った先でぶつぶつ文句を言うので、嫌われる。 
5. 他人からほめてもらいたい、気に入ってもらいたいために、したくないことまで進んでやってしまう。 捨てられたくない一心から、借金をしてまで恋人や愛人に貢いでしまう「貢ぐクン」。
6. 自分自身の世話をすることができないという恐怖から、独りになることを嫌う。 ちょっとした問題があると夫の職場に頻繁に電話をしてくる妻。ついには夫が出勤するときに「行かないで」と懇願するように。
7. 恋愛など親密な関係が終わったとき、すぐに自分を支え世話してくれる関係を必死に求める。 たちの悪いヒモ的な男との関係を繰り返してしまう水商売の女性。
8. 周りから見捨てられ、ほったらかしにされるという、根拠の無い恐怖にとりつかれている

a)どういう思い込みがあるか
私は他人の助けがないと、何もできない。(私はOKでない、他人はOK)
もし見捨てられたら、私は壊れてしまう。
相手に気に入ってもらえれば、助けてもらえる。(子供のようなCの固まり)
どんな状況でも、恐らく私が悪いの。
私は人に反対できない。(「すみません」という言葉が多い)
私の側に、いつも誰かがいなくてはいけない。
b)2つのタイプ
べったりとしがみつくタイプ
依存することを極端に拒むタイプ
c)まずい接し方について
自立を強いる。(「あなたはあなた」「私は私」という言い方は、見捨てられる恐怖を与える)
相手に代わって決断を下す。相手の決断を批判する。(自分で決断したことがないので、おかしな決断をする)
依存するのを、ただ許しておく。(まとわりついてくる)
依存の埋め合わせをさせる。(例;人のやりたがらないことを買って出る)
d)望ましい接し方について
十分なケアを与えつつも、限界を定めること。
意見を求められたら、まず「自分がどうしたいか」を尋ねる。
自分のほうは、相手に縛られず行動する場合があることを示す。(理由の説明)
判断に迷うとき、逆に相手に助言を求める。(相手が考えるようにもってゆく)
結果より、「自分でやってみた」ことを評価する。

非常に疑い深い人(妄想性パーソナリティ)

 非常に疑い深く、不信感を抱きやすく、警戒心が強い。日常の出来事や他人の態度を、自分に対する悪意の現れとみなす特徴があります。
◆次のような事例はありませんか。
1. 十分な根拠も無いのに、他人が利用する、だます、危害を加えるという疑いを持つ。
2. 友人や仲間の誠実さや信頼を不当に疑い、それに心を奪われている。
3. 秘密主義。情報が自分に不利に用いられるという根拠のない恐れから、他人に秘密を打ち明けたがらない。
4. 悪意の無い言葉や出来事でも、自分をけなしたり、脅したりする意味が隠されていると思ってしまう。なんでもないことでもすべて、自分に関係付けてしまう。まわりは雑談しているだけなのに、それをとらえて「自分の悪口を言っている」と強引に自分と関係付けてしまう。他人の笑いや視線に対する「笑われている」「見られている」という意識もおなじ。
5. 恨みを抱き続ける。侮辱されたこと、傷つけられたこと、軽蔑されたことなどを決して忘れない。かなり以前に人前でからかわれて以来、その人とは口をきこうともしない。まわりが見かねて 「いい加減で仲直りしたら」と言っても、昔のことを持ち出して「信用できない」と言う。
6. 自分に対する攻撃に対しては、過敏かつ執拗に反撃する。
7. 配偶者や性的パートナーの貞節に対して、道理に合わない疑いを持つ。

a)どういう思い込みがあるか
人は結局、私を傷つけようとしているのだ。
世の中には、私に悪意を持っている人が大勢いる。
親密さを避けよ。人と親しくなると弱みを握られる。
些細な非難でも、私に対するものならば、その報いを受けるべきだ。
妥協とは屈服のことだ。
b)いくつかのタイプ
ヒットラーやオウム真理教の麻原など、独裁者のように妄想性性格に自己愛性性格が加わっているタイプ
妄想性性格の目立たない敏感性格の人(冷徹でなく、うつ的)
c)まずい接し方について
誤解をそのままにしておく。(十分に説明して訂正しない)
相手の怒りに反応して、侮辱する言葉を返す。
長々とした議論に陥る。
相手の前でミスを犯す。
後からわかるような気休めやごまかしを言う。
d)望ましい接し方について
定期的にコンタクトを持ち、相手を避けない。
簡潔ながら、正直に十分な説明を繰り返す。(どういう理由で何をしたいか)
被害妄想的な発言に対しては、肯定も否定もしないほうが効果的。
礼儀を守り、よく吟味した上で、小さな勝利を与える。
周囲の仲間の中に、相談にのってくれる人を探す。

≪事例≫
 60歳男性。定年の一年ほど前から妻が浮気をしているのではないかと疑うようになりました。 きっかけは本人が友人と酒を飲んだとき、たまたま妻の誕生日の話題になり、その後、友人から妻宛に誕生日プレゼントが送られてきたことからだといいます。
 定年後、嫉妬妄想はひどくなり、現在では妻が外出から帰宅すると、ボディチェックしなければ納得しなくなっているということで、奥さんの悩みは尽きません。
 高齢化社会を迎えた今、こういうケースは確実に増えています。
 この場合はまず、嫉妬妄想というのは初老期の男性に出やすいということを理解する必要があります。そして、みなさん頑固で説明困難というのも特徴です。
 ですから、思いあぐねた家族の方から相談を受けても、実際に本人から事情を聞きだしたり専門家の治療を受けるところまでは話が進まないケースが多いわけです。なにしろ、本人は「自分が思っていることが正しい」と思い込んでいるわけですから。
 それともう一つ、本人が自信をなくしていて、奥さんをつなぎとめておくものがないことから、こうした行為に走るケースが多いようです。とくに、60歳前後というのは、男性としても家族の長としても、社会人としても、その役割が怪しくなってくる時期です。奥さんに対してもある程度の支配的な感情がだんだん保てなくなってくる自信の喪失感とも関係してきます。このまま嫉妬妄想が拡大していけば、暴走が止められなくなってしまいます。


物事の暗い面ばかり見る人(抑うつ性パーソナリティ)

日本人の20%ぐらいに、“I‘m not OK.”の傾向があります。 なかなか良いことが考えられず、「マイナスに考える」「まぐれなんだ」というように、プラス的な考えがありません。

a)どういう思い込みがあるか
自分や自分にとって大事な人には、悪いことが起こるに違いない。
誰にも私の辛さはわからない。
自分は無能だ。
人生は辛く不公平なところだ。
b)2つのタイプ
生活のストレス、欲求不満から生じるもの
身体に原因があるもの(糖尿病、心筋梗塞の人は、うつ病になりやすい)
c)まずい接し方について
「頑張れ!」「やる気を出せばできるんだ!」(叱責や叱咤激励をするのはダメ)
  →「君は甘えている。すぐ安易な方に流れるからダメなのだ。」
相手に同情してこちらも陰鬱になる。(「1回に1.5時間聴くのではなく、1日に30分ずつ3回に分けて聴く」というように、限界を設定する)
  →「君は悪いことばかり考える。だから、、、。」
新しいところに適応する力はないのに仕事を変えたり、重大な意思決定をせまる。(決断はさせない)
d)望ましい接し方について
治療を受けるようにすすめる。(早く休ませるほうが良い)
自分は黙り、相手にしゃべらせる。(悩みを共に分かち合う態度)
相手に行為を持っていることを示す。(数分共にいる)
辛抱強く(無理でなく)楽しいことに誘う。
相手の良いところを誉める。
仕事を辞めたいと言ったらよくうつ傾向を確かめる。
自殺しない約束をする。(「自殺する人のカウンセリングはしない)という。

●「うつ病」を引き起こす精神的な負担
 48歳の男性は、数ヶ月前に某電機メーカーの部長に昇進しました。周囲は当然祝福し、彼も嬉しかったのですが、この先ちゃんとやって行けるだろうか?という不安もありました。
 やがて彼は完全癖を発揮して、部下の仕事を念入りにチェックし、細かいことにも口を出すようになりました。これまで以上に残業に精を出し、会社を出るのも彼が最後になることが多くなりました。
 そのため部下は、いささかやりにくい様子。そのうち部下のちょっとしたミスで、彼が事後処理に追われることに。部長になって早々のトラブルに、すっかり気が重くなってしまった彼は、そのことを考えると夜も眠れなくなり、「自分は部長としてこれから先やって行けるのだろうか?」と悩むようになったのでした。
 不眠が続いて疲労が蓄積し、会社でもボンヤリすることが多くなりました。仕事の資料を読もうと思ってもなかなか頭に入りません。記憶力も低下したようです。朝起きるのも辛くなって、会社に行くのが嫌だな、と思うようになりました。
 入社以来25年になるが、会社に行きたくないと思ったのは初めてのこと。こんなことになるなんて自分でも信じられないことでした。
 妻にグチをこぼすと、冗談だと思って取り合ってくれない。やがて食欲がなくなり、体重が3キロ、4キロと減り、ようやく妻もおかしいと思い始めました。会社の部下たちも、この頃には部長の変調に気付くようになりました。 何を決定するにも遅れがちでグズグズしています。これまで自信に満ちた口調だったのが、話し方が頼りなげになってきました。部長仲間でも「疲れているのではないか?」と気遣ってもらったが、「そんなことはない」とムキになって否定しました。
 しかし、実はこの時、ポケットには辞表が入っていて、手帳には遺書めいた言葉を書き記していたのです。帰宅後、妻に「これから飲みに出る」と言って外出したことがありました。いつにないことなので、様子がおかしいと疑った妻があとをつけてみると、夜の公園で一人ブランコに座ったまま動かず、悩んでいる様子でした。やがて夫が川に向かって歩き出すと、妻は「死ぬつもりではないか?」と察して、夫に駆け寄って泣きつきました。夫を引きずるようにして帰宅した妻はすぐに病院に連絡をして、翌日病院に連れて行くことにしたのでした。

 夫と妻の二人の話を聞き取った医師の診察では、典型的な「昇進うつ病」とのことでした。
 几帳面なタイプの人間が部長に昇進した重圧から、うつ病を発症させたのでした。「どうせ私は治らないから入院したくありません」と入院を拒否する彼に対して、医師は「あなたは治らないと言うけれど、専門家の私に任せてくれれば必ず治ると思います。もし2週間入院治療して治らなかったらその時は家に帰ってもいい。だからその間だけは我慢してほしい」と約束して、即日入院させたのでした。
 はたして入院後1週間で体調が回復し、よく眠れるようになった。その時点で入院生活を嫌がらなくなり、医師を信頼するようになって、じっくり治療に取り組めるようになりました。こうして3ヶ月でほぼ完治して退院しました。 その後は、外来も次第に間遠になり、1年後には外来診察の必要もなくなったのでした。


決まって物事を引き延ばす人(受動的な攻撃性パーソナリティ)

 小さい頃に、親にうるさく責任を問われる、「約束を守れ」と言われる、厳しく「いつまでに○○しなさい」「いつやるの?」などと言われるような親子関係に多く見られるタイプで、親に反抗するために、消極的に静かにしています。
 「やる」と言うことで相手に期待させ、「やらない」ので相手を怒らせます。これを“ゲーム”と言います。
 厳しく親に育てられたため、自分の気持ちを表せなかったので、消極的に引き延ばし、相手がかっかっと怒るように仕向け、自分の怒りを処理する。NOと言えないので、周りがイライラしてしまいます。
 親が与えた“呪いのようなメッセージ(「お前はダメだ」「役立たず」「できない」)から、なかなか抜け出せません。 多くの場合、威圧的な親の下に育った人で、禁止例(「考えてはいけない」「自然の感情を感じてはいけない」「自分で決めてはいけない」「簡単なことを複雑にしないといけない」)を受けています。
 不機嫌な態度を示すのは受動的攻撃(=Passive Attack)になります。
 もし、あなたが「どーせ私はデブだから」「どーせかわいくないから」といったコトバを良く使うのであれば、これらも受動的攻撃になります。
 また、日頃「面倒くさい」という言葉を良く使う傾向のある人は。抑圧された怒りの顕現ですから、これもある種の攻撃になります。
 こうしたスタンスが続くようですと、受動的攻撃性パーソナリティ障害をおもわせますので要注意です。これは、知性を活かせなかったり、アルコール依存症になる傾向があるなど危ういので、できるだけ早期に(重篤な状態になる前に)ドクターに診ていただきましょう。

a)どういう思い込みがあるか
自分の意見を主張するのは危険なことだ。(特に怒りは)
私は私のしたいと望むことだけをすべきだ。
人の言うことを聞くのは敗北だ。(人は私に要求すべきでない)
催促や締め切りは不公平だから、抵抗すべきだ。
明日に伸ばせるものは、明日に延ばすこと。
b)どういうタイプか
権威に対する消極的反発(はい、でも)
引き延ばし
c)まずい接し方について
P(親のような言い方)で「まだやってないの」「約束を破って」と非難する。
仕返し合戦(ゲーム)
相手の行動に気づかぬ振りをする。(じっと我慢する)
d)望ましい接し方について
子供扱い(P→C)をしない。
「約束したろう」と責めない。
相手の意見を求める。不満を直接言わせる。(「○○までにやって欲しい」けどできるかな)
できる範囲で決定や方針に参加させる。(自分が主導権を握るといそいそとやる)
お互いの立場をはっきりさせ、「その範囲内で要求しているにすぎない」と伝える。(私は無理は言ってない)
粘り強く、やさしく丁寧に接する。(「もう少し早くしてもらえると助かるよ」弱みを見せる)
結果に言及して、困っていることを伝える。(相手に花を持たせる)
「怒りは危険だから回避せよ」という禁止例の解消への援助。

度の過ぎた引っ込み思案の人(回避性パーソナリティ)

 対人関係を避けようとする“人となり”ですが、はにかみ屋、照れ屋とは異なります。周囲から拒絶されるのではないかという不安が常に先にたつのです。
 ですから、なんでもないちょっとしたことで非難されたとかあざけりを受けたと思い込んでしまいます。際限なく受けいれてくれるという保証がないと対人関係をもとうとしなかったり、対人関係の少ないあまり重要でない職業を選びます。自尊心が低く、自分のしたことへの評価を低く見積って落胆したりします。
「I“m not OK.」(私はダメ人間)、引きこもりの傾向あり。
 社会不安が恒常的に潜在し、拒絶恐怖、対人恐怖が強く、人間関係が怖い。
 母親と本当に安心できる関係がなかったケースが多く、何でも先回りする親、過保護で心配性の親で、子供は自分の人生に参加していない。
 子供に失敗させて、自分の問題を自分で解決させるようにすることが大事。
 自信を失った辛さをうんと話すと、わかってもらえると安心する。親は、「つらいよね」と子供を支えてあげよう。 一番困った気持ちを誰かにわかってもらえると自分の心を発見することができる。
 今の子供たちは、自分が感じて、自分が考える力がない。親が先回りして問題解決する傾向の家庭に多く、「皆からどう思われるか」が、とても気になる。「あなたは、そう考えるのね」と自分の心を持たせてあげよう。

◆具体的には次のような事例です。
1. 批判を恐れて、重要な対人接触のある職業的立場(地位、役割)を避けてしまう。経理課長への昇進を打診された公務員。他部署との連絡調整役は勤まらないとして拒否、出世へのステップを棒に振ってしまった。
2. 好かれているとわかっていなければ、人と付き合うことができない。19歳大学生。クラスの女の子に好意を持ったが、「あんなかわいい子にボーイフレンドがいないはずはないし、自分など相手にしてもらえないだろう」と声もかけられない。
3. 恥をかかされること、馬鹿にされることを恐れて、たとえ相手が親密な関係でも遠慮してしまう。セックスレス・カップルの性交渉を回避する男性。「失敗したら相手に嫌われると思うとできない」 「満足させることができなかったらどうしよう?」
4. いつも相手の批判、拒絶にびくびくし、少しでも批判されるとがっくりきてしまう。会議の席で、自分の気持ち・考えがコントロールできなくなり、恥ずかしい思いをしたり、周りの人から嫌われるのではないかと恐れるあまり、発言できなくなってしまう。
5. 人間関係に必要以上に神経過敏で気に病んでしまうため、ステップアップすることができない。「嫌われたら、振られたらどうしよう」と恐れるあまり、心では恋愛関係に進みたいと思っていても、友人関係のままでとどまってしまう。
6. 自信の無さ。自己評価の低さ。自分は社会生活に適応できない、人間として長所が無い、他人より劣っていると思っている。周りはできる人と評価しているのに、本人の口癖は「すみません」「だめなんです」。
7.  恥ずかしいことになるかもしれないという理由から、新しいこと(仕事、人間関係、趣味、勉強)に取り組むことに、異常なほど引っ込み思案。

≪事例≫
 商事会社の30歳の係長。判断・指示がコロコロ変わるというので、部下はその都度、右往左往。上役の「鶴の一声」には、是非も無く言いなりになり、他の部署からクレームをつけられると、とりあえず同調してしまう。
折角部署で決定したことでも、すぐにひっくり返してしまうタイプ。「責任」「決断」の2文字が大の苦手。
 こういうタイプの人は、自分の意見を持たないことで、周りに救われてきたといえます。指示待ち人間になることで、徹底的に周囲との軋轢を避け、自分のポジションをキープしているわけです。
 部下からすれば、まさしくやっかいな上司には違いありませんが、案外、こういうタイプは多いものです。
 ところが、上役から見ると、結構重宝な存在であったりします。怒りのはけ口にはぴったりです。同じく優柔不断でも、こだわりが強すぎてかえって決められない場合と、このケースのように、自分の意見が持てなくて決めかねる場合とがあります。周りが決めてくれるのを待とうとするわけです。周りが決めてくれれば、結果はどうあれ、とりあえず自分の責任は回避できます。
この係長がいちばん避けているのは、「責任」の問題です。あるいは、叱られるのが怖いというトラウマを抱えているかもしれません。こうした言動が、日常生活のあらゆる場面に見られるようなら、「回避性パーソナリティー障害」の疑いが考えられます。

a)どういう思い込みがあるか
私は人より劣っている。(人から認められるものを持っていない)=強い劣等感
自分の自尊心を守れない場に出ていくのは危険だ。
傷つく危険にさらされるよりも孤独のほうがよい。(身を引いてしまう)
些細な批判も圧倒的な非難と同じである。
自分のことをするのに人に頼らなければならない。
b)2つのタイプ
何人かの人とは親しく付き合う。(1人か2人わかってくれる人がいるから救われる)
疑い深く、親密な関係が築けない。
c)まずい接し方について
マザコンなどとからかったり、馬鹿にする。
しびれを切らして爆発する。
無理に仲間に引っ張り込む。
人のしたがらない仕事をあてがう。
d)望ましい接し方について
どんなことがあっても、支え続ける意向を伝えて安心させる。
反対意見を述べても危険でないことを示す。(「あなたはそう思うのね」「あなたはそう感じるのね」と自分の心を発見させてあげる=自分の心をもたせてあげる)
回避したくなる状況への系統的脱観察。(本人のペースで、怖いものに少しづつ直面していく方法)
君の意見が必要だということを示す。
治療を受けるようにすすめる。
説教や説得ではなく、漫画本・スポーツ・趣味・TV番組など、雑談を増やす事が大切。

社交嫌いで、1人でいるのが一番いい人(ジゾイドパーソナリティ)

内向的で、引きこもり・孤独を好み、感情を表に出したりするようなことはなく、よそよそしい振る舞いをします。「人間」に興味がなく、そのため社会から孤立します。
極端に引きこもって、1人でいるのが一番いいタイプ。
たくさんの人と付き合うのが苦手で、ストレスになる。
作家、芸術家など内界は豊かな人。
≪このあたりになりますと、ほとんど専門的な治療が必要になる分野です。≫

◆以下の項目で、自分(相手)に当てはまる項目数を数えてみましょう。
1.家族にも、他の誰とも、親密な関係をもたないと思わない。
2.いつも一人で行動する。
3.他人とエッチすることに対する興味が、ほとんどない。
4.何をやっても楽しいと感じないか、少ししか楽しく感じない。
5.家族以外に親しい友人や、信頼できる友人がいない。
6.他の人がほめても、怒っても、批判しても、あまり反応がない。
7.ほとんど感情をださず、冷たく、よそよそしい。

a)どういう思い込みがあるか
人と親しくなることには、ほとんど重要性はない。
人との関係は何があるか予測できないし、疲れるものだ。
付き合わないほうがよい。
私は私自身が最良の友である。(私は自分が一番好き)
平静でいろ。感情を表現することは不必要だし、恥をかく。(感情を表現しないでおこう)
b)2つのタイプ
対人関係に一切関心のないタイプ。(研究に打ち込み、人間関係に関わらない人)
受身的で、ただただ夫(または妻)に尽くす人。
c)まずい接し方について
頻繁に話しかける。(ずけずけ入ってこられるような気がする)
こちらの気分のムラによる接近や疎外。
感情を表現するように要求する。(「話しなさい」と要求する)
閉じこもるままにしておく。
こちらが知りたいことを次から次へと質問したり、Yes,Noで答えないといけないような「閉ざされた質問」をする。
d)望ましい接し方について
ある程度の距離を置いて接触し、プライバシーを尊重する。(1人でいたい)
専門能力が高い人には適正を考える。
内面の世界に耳を傾ける。
沈黙の間を埋めない。(子供に対して、しゃべらせようとしないで、次の言葉が出てくるまで待つ)
無口を長所として考える。
徹底的に相手中心に、相手に自発的に言わせる質問=「開かれた質問」をする。
「どんな気持ち?」と聞いて待っていることが大切。
沈黙を含めて相手に主導権を持たせるやり方。

モラトリアム・エリート(団塊世代のリーダー)

10年ほど前の分析、現在は現役をリタイアしている。

自我が強く、プライドが高く、責任をとらない人。60代後半の人で、自分のない、自己犠牲的な価値観が戦争をもたらしたという考えから、自分の幸福を追求することが一番大切と考える人。 自己実現をする、豊かさを求めていく人々です。

a)どういう思い込みがあるか
自分は受験戦争を勝ち抜いてきたエリートである。
すべて一次的、暫定的に関わっていれば安心だ。
管理社会に適応するには、責任の所在を曖昧にしておくのがよい。
現在は次の地位に向かって準備状態。現在の自分は本当の自分ではない。
定年後の高収入と権力のために、常に待つ存在でいるのがよい。
b)まずい接し方について
お客様扱い。
責任ある存在、指導力の伝達、継承を欠く。
一時的、部分的な関わりにとどめる。
子供本位の家族の容認。(しつけることはしない)
自己中心的な権力志向の容認。(育児は母親にすべて任せ、「悪い」と責める)
c)望ましい接し方について
真剣な自己探求へのすすめ。~としての自分の選択と序列づけを求める。
現代社会に対する危機意識をチャレンジする。
エリート、親として義務・責任意識の回復を促す。
日本の社会で大人になるとは、「世代性」(次の世代をしっかり育てていく)の課題への取り組み。
◆モラトリアム人間
1947~1949年生まれ(1000万人以上)“団塊の世代”第2時世界戦後のベビーブームで生まれた、学園紛争で暴れた世代
いつまでたっても大人になろうとしない人間、大人になって責任を持つなんて馬鹿馬鹿しい、本当の自分を生きることが人生、自分が幸福になることが一番大事と考える。
社会・組織に対する帰属意識に乏しい。自己中心的で、自己の可能性を尊重する傾向にある。「あれもこれも」と自分が好きなことをやっていいじゃないかという考え方。「必要なら仕事を変えてもいい」と考えている。
中立的、評論的。(当事者意識をもたない)
新旧2つの文化に片足ずつかける。(父親は戦中派vs若者文化の創出)。古い昔の習慣と新しい時代の習慣の2つに片足ずつかけているため、葛藤がある。「親父たちが戦争を起こしたので、その価値観を身につけないぞ」と古きよき社会や組織、大人社会に入ることを拒否。“子供本位の家族”(放任教育)
◆モラトリアム2世
 今の小・中・高校生の親たちがこれにあたる。心の中にアイデンティティ感覚、例えば、「親とは○○という人」「教師とは○○という人」「裁判官は○○という人」だと言う意識を伝達されていない人々。
昔は、「子供が学校へ行かないなら、働かせる」という考えだったのに対し、今の親は、「子供が学校にいかないので、どうしたらいいか」と悩み、莫大なエネルギーと金を子供にかけ、どうしようかと考えている。
 自分は親離れしないまま、父母を演ずる。ほとんど我慢しない、むきだしの自己中心的な欲望だけで生きる。欲望そのものを満たすことが、いいという考え方。次の世代を育てる心を失っている。
 昔は、愛情が足りないから愛情を与えようと言うものだったが、現在は、限界を設定して、欲望をコントロールするという指針に変更し、「いけない事は、いけない」とはっきり言おう、怒りをコントロールしようとする。

日本の社会で大人になるとは、
・上手に表と裏(本音と建前)の区別がつけられるようになるということ
・上手に自分の中にある気持を整理できるということ
・「自分という人間を認められたい」という欲求を自覚すること
・うぶな心を内に秘めていること
・「人は結局孤独なんだ」「完全に理解し合えない」こういう孤独に耐え、上手に距離を保ちながら、相手を尊敬すること
・「自分の中に愛も憎しみもある」というように、アンビバレンスに対する耐性があること
・ 相手の頼りたい気持をしっかり受け止めてあげること