第11話 論理思考の根幹となるMECE

基礎的なテクニック

MECE(ミーシー、ミッシーと呼ばれます)とは、モレなくダブりがないという意味の英語(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)の頭文字をとったものです(直訳すると「相互に排他的で共同して徹底的である」という感じでしょうか?)。

 MECEを使うことによって、納得性のあるロジックができます。
・ 選択肢を過不足なく挙げられる
・ 情報を整理して考えられるので、優先順位をつけやすい。
・ 意思決定の理由が明確になる。
・ 第三者にわかりやすく伝えられるので、行動を促せる。

等の効果があります。

例えば、人間を男と女で分けるとMECEになります。
 ところが、人間を男と女と子供で分けるとダブリが生じてMECEになりません。
 また、人間を老人と子供で分けるとモレが生じてやはりMECEになりません。
 モレが生じれば機会損失につながりますし、逆にダブりが生じれば効率性の低下に繋がります。

◆分解のコツ 
分解する際に、必ずMECEに分けるコツは、「XとX以外」という分け方です。基本はこれでOKです。ただし、X以外に情報の8割くらいが入るようでは、切り方が甘いといえます。その場合は、X以外の中で、いくつか分解できないか、再度考える必要があります。

◆MECEの切り口
通常一つの対象に対してMECEな切り口は複数ある
目的・主題に適した切り口を選ぶ必要がある
 但し、厳密なMECEを求めすぎる必要はありません。あまり重要でない細部は切り捨てて「MECE感」を大切にする。
 たとえば、「パソコンのOS」を「Windows」と「Mac OS」に分類すると、「Unix」が抜けてしまいますので、漏れが発生します。

◆分解のパターン 
分解は3つの代表的なパターンに分けることができます。
① 足し算型(同質のものの組み合わせ)
足し算型とは、全てを足し合わせると全体になるような分解の仕方です。
足し算型には次のような例があります。
売上 = A店の売上 + B店の売上 + C店の売上 + D店の売上

②掛け算型(異質の組み合わせ)
掛け算型とは、全てを掛け合わせると全体になるような分解の仕方です。掛け算型には次のような例があります。
売上 = 従業員1人あたりの売上 × 従業員数

③プロセス型
プロセス型とは、結果に至るまでの行為をプロセスで分解するパターンです。
例えば、顧客の購買に至るまでのプロセスAIDMAを使うと次のように分解できます。
商品を買ってくれない訳 
 =そもそも商品を知らないから
 + 知っているが興味がないから  + 興味を持っているが欲しいと思わないから
 + 欲しいと思うが動機がないから
 + 動機はあるが行動できないから

第12話 ロジックツリー

基礎的なテクニック

ロジックツリーで論理的に整理する
課題:「利益を上げるにはどうすればよいか」

◆メリット
①問題の全体把握が容易
ロジックツリーを広く、深く構成すると問題の全体像が明確になります。
全体像が把握できると、一押しだった案がダメになっても、別の案をすぐに容易できるというメリットがあります。また、広く検討した上での最善の結論であるということがわかりやすいので、交渉やプレゼンでの説得力が増します。
②議論のズレを修正できる
次の事例でいうと、「新幹線の自由席」と「レンタカー」の優劣を論じても、お互いの階層が異なるので優劣を比較できません。この場合は、「電車」と「車」といった同じ階層のもので優劣を論じる必要があります。

問題を整理するための4つのポイント
①要素が正しいかどうかに注意する
②項目の分岐は5項目程度まで 項目が増えすぎると、MECEの検証が難しくなります。
③上下関係、並列関係に注意する
④「なぜ」「どうすれば」を深めてゆく


繰り返すことで、問題の原因にちかづき、具体的な解決策を見出すことができる。

第13話 思考の幅を広げる帰納法と演繹法

基礎的なテクニック

●帰納法は個々の事象から、事象間の本質的な結合関係(因果関係)を推論し、結論として一般的原理を導く方法です。
(例)事例収集(個々の事象)「人間Aは死んだ。人間Bも死んだ。人間Cも死んだ」
因果関係(本質的結合関係):「人間だから死んだ」
結論(一般的原理):「人間は死ぬ」

●演繹法は一般的原理から論理的推論により結論として個々の事象を導く方法です。
 代表的な手法に、大前提・小前提・結論による三段論法があります。
(例)大前提(一般的原理)「人間は死ぬ」 →小前提(事実など)「Aは人間である」→結論(個々の事象)「Aは死ぬ」
ピラミッド構造においては、上位の情報と下位の情報群の間には、演繹法か帰納法のどちらかが成立しています。

第14話 帰納法の罠と演繹法の罠

基礎的なテクニック

①帰納法の罠
◆間違った情報を元に論理展開をしている
観察事項が間違っているため、結論も間違ってしまうという状況です。
「愛知県は海に面している。」「岐阜県は海に面している。」←間違った情報
「三重県は海に面している。」→「愛知、岐阜、三重の東海三県は全て海に面している」←間違った結論

◆ 不適切なサンプリング数
これは、観察事項となる事柄のサンプリング数に問題があって、正しい結論を導き出せていない状況です。
「彼の友人のF君は福岡県民だ。」「彼の友人のG君は福岡県民だ。」「彼の友人のH君は福岡県民だ。」→「彼の友人には福岡県民が多い。」
これは「彼の友人」が5人くらいなら言える結論ですが、彼の友人が50人くらいいる場合は、サンプリング数が少なすぎて一般的に言える結論ではないでしょう。
後者の場合(友人50人)の場合、上の情報から言えることは、「彼の友人には福岡県民が3人以上いる」ということぐらいでしょう。

 帰納法の欠点は、全事例を網羅するか、それと同等の論理証明をしない限り、帰納した結論(帰結)は必ずしも確実な真理ではなく、ある程度の確率を持ったものに過ぎないことです。(故に帰納法は帰納的推理ともいいます)
 事例の集合が不完全である限り、いくら事例をあげても、それは正しい確率が高いものにしかなりません。全知全能ではない人間の認識の限界が帰納法の欠点となります。

②演繹法の罠
◆間違った情報や先入観を元に論理展開をしている
「自社の利益は増加するだろう。」
←「顧客へのサービスが豊富なら大きな利益が得られる」
←「コストをかけて、顧客へのサービスを充実させた]
「このあたりも治安が悪くなるだろう。」
←「外国人はよく犯罪を犯す。」
←「最近、近くに多くの外国人が引っ越してきた。」

◆前提が隠されている。論理が飛躍している 
「今日は雨の予報だ。バイクはやめて、車で出かけよう。」
こう言った場合、大抵の人は納得します。しかし、雨が降ってもバイクで出かければよいというふうに思う人もいることでしょう。この場合は、例えば次のような前提が隠されていると考えられます。
「今日は雨の予報だ。」→「私はバイク用の雨具を持っていない。」→ 「バイクで出かけるとズブ濡れになりそうだ。」→「私は雨に濡れずに出かけたい。」→ 「雨に濡れない方法で出かけるべき。」→「私は車を持っている。」→「車で出かけよう。」
大抵の人はこんな前提を言うとまわりくどいと感じることでしょう。
しかし、この前提が一般の人にはわかりにく前提だったり、先入観や間違った情報に基づいた前提だと非常にやっかいです。
自分が物事を人に伝えたい場合は、出来る限り前提を省略しないようにすることが必要です。
また、他者が前提を省略して話しきた場合は、その人がどんな前提で言っているのか確認する必要があります。なぜなら、前提の省略は話し手と聞き手の間で、異なる前提を置いて大きな誤解を生む可能性があるからです。ちなみに、テレビの討論や新聞の社説を読んでいて、文章がわかりにくいと感じる場合、前提の省略がされている可能性があります。

演繹法の欠点は、正しくない、あるいは使用するのが適切ではない前提を用いてしまうことがあることです。先入観や偏見に基づいた間違った前提を適用してしまう場合や、ある限定された範囲でのみ正しい前提を全体に適用してしまうような場合などがそれにあたります。
このような欠点をしっかり認識しておかないと間違った証明をしてしまう可能性が高くなります。

第15話 フレームワークで全体像を把握

基礎的なテクニック

フレームワークとは情報を整理して分析するための枠組み、切り口のことです。

並列化の例
スポーツの三要素
 →心 技 体
5S
 → 整理 整頓 清掃 清潔 躾
時系列化の例
小学生 中学生 高校生 大学生
二次元化の例
趣味の分類
 → 個人⇔チーム 体力⇔知力

フレームワークとは、文字通り枠組みのことです。
ここでは考える枠組みとなります。
フレームワークは、通常MECEに分類された枠組みになっていて、様々な問題を考えるときの切り口となる役目を果たします。
フレームワークを用いることによって、考えモレを無くし、より大きな視点で物事を捉えることできるようになります。
さらに、問題に応じて定型的なフレームワークがあるので、思考の際のスピードアップにつながります(考えるスピードが速い人は、たいてい何らかのフレームワークを持っていると思います)。
したがって、物事を考える前には、まずどのようなフレームワークを使うか、時間をかけて考えることが重要です。 フレームワークを使う際の注意点として、フレームワークを使って情報を整理するだけでなく、解釈を付与するということです。
フレームワークというのは、情報を整理するためのものではなく、整理した情報からどんなことが言えるのか?何をしていくべきなのか?を導いて初めて役に立ちます。

第16話 SWOTで現状を分析する

基礎的なテクニック

SWAT分析は、将来の戦略を決めるために現状の分析を行うフレームワークです。
POINT
①プラス面、マイナス面は主観で決める
1つの事象に対する受け取り方は、置かれた立場によって異なるため、「自分・自社にとってどうか?」を考える。

②実際に書き入れる
頭の中で考えるだけではメリットを享受できない。実際に書き入れる作業、また書き入れたものを眺めることによって、アイデアが浮かんでくる。

③プラス面、マイナス面の入れ替えは可能かどうか検討する
長所と短所は表裏一体。弱みを強みととらえられないか、強みが弱みになる可能性はないかなどを検討することで新しい発見がある

④第三者に相談したり、グループで議論したりする
人とコミュニケーションをとりながらSWATを見直すと、自分一人では気づかないような視点が得られる。


クロスSWOTで企業の戦略を立案する
クロスSWOTとは
強み(S)と弱み(W)、機会(O)と脅威(T)の各項目をクロスさせ、その四つのセルごとに戦略の方向性を考えるフレームワーク
なかば半強制的に答えが出ます。→すぐに決論とするのは?
さまざまな切り口でロジックを積み重ねることが必要です。

SO戦略  強みを機会の中で最大化するにはどうすればよいかを考える WO戦略  弱みを補充して機会を活かすにはどうすればよいかを考える
ST戦略  強みによって脅威に対処するにはどうすればよいかを考える WT戦略  弱みと脅威の最小化、撤退も選択肢とする

第17話 SMARTとAs is to be

基礎的なテクニック

◆SMART
達成しやすい目標の設定について
→SMARTの切り口で目標を客観的に設定する
Specific (テーマは具体的か) 実際に何をするかまで明確にする
Measurable(定量的に測定できるか) 成果を金額や数などで客観的に測る
Achievable(達成可能なものか) 現実的かどうかを見定める
Result-based(結果を重視する) どうなれば目標達成できたことになるか
Time-oriented(期間は意識されているか) 締め切りを設定する
SMARTで目標設定すれば達成度が検証できます。

日頃の業務にも活用できます。
行動につながる目標設定法です
 行動できない人は、目標の設定を見直す必要があります。あいまいな目標を立てたり、無理な目標を立てているケースが少なくないからです。
たとえば、「新規顧客を増やす」  ←いつまで、どれだけがはっきりしない。
→「今月末までに新規契約を五件獲得する。そのため、一日に30件の顧客訪問を行う」

◆As is (現状) と to be (あるべき姿) 
斬新なアイデアを考えるには
→As is (現状) と to be (あるべき姿) で考えると大胆で効率的なプロセスが生まれます

◆現状から考えるアイデアには限界がある
 現状を改善してゆくやり方では、当たり障りのないプロセスを選択せざるを得ない
◆理想を考えれば、アイデアは無限に広がる
 現状からいったん目をそらし、あるべき理想を中心に考える「ゼロベース思考」なら、不利な状況も打破できる革新を起こすことができる

「あるべき姿」から逆算して、現実的なステップを積み上げる
As is (現状) と to be (あるべき姿) を明らかにして、理想にちかづくには何をすべきかを考えます。
 たとえば、大々的に新製品の広告を打ちたいけれども、「予算が無い」という現状を突き付けられると、誰しも意欲が無くなります。→あらゆる具体的な方法を思いつく →他の企業とのコラボにより、広告費を折半しPRする。

第18話 図解思考

基礎的なテクニック

すべてを□と→で書く。
①わかりやすさ
②情報のヌケや矛盾を発見できる
『記録のため』ではなく、『頭の整理のため』 情報はそぎ落とすほど精度を増す

情報の整理について → 図解思考
①情報の「要素」と「関係性」に着目する
②要素は □、関係性は → で表す
③基本パターンはたった6つ


文字だけで資料を作成すると、内容の関連性がつかみにくくなったり、内容の矛盾に気づかない場合があります。ここで図解を使えば情報の整理が容易になり、仕事もスムーズに進むようになります。

図解思考の基本6パターン

第19話 ロジカルシンキングの活用

まとめ

物事を考える時に図示したりすることで、立体的に考えることが可能になります。
頭の中を整理する基礎的なテクニックとして、ロジカルシンキングを紹介しました。


これは訓練によって身につけるほかありません。
身の回りで起こるいろいろな問題に対して、はじめにフレームワークを考える癖をつけることで、合理的に結論を導くことができます。
 ただし、それが正しいかどうかは別です。
この部分が、ロジカルシンキングの難しいところです。
最初の哲学的な話に戻りますが、何が正しいかは、個人の価値観が影響します。
好き嫌いとか、興味のありかによって変化するものなのです。
私にとっては正しいが、あなたにとっては正しくない、こういうのを「正しい」とは、そもそも言いません。
「正しい」とは、特定の個人や集団にとってのみ正しいことではなくて、誰にとっても正しいということなのです。  誰にとっても普遍的に正しいというのでなければ、「正しい」ということの意味にはなりません。 しかも、「普遍的に正しい」事とは何かもわかりません。
特に経済学では、過去の常識が、時代の変化で通用しなくなっています。
そして、「しかし、私にとってはこれが正しいのだから、これでよい」と言ってしまいます。
この部分を理解したうえで、ツールとしてロジカルシンキングを活用しましょう。
つまり、自分が納得するだけの理由を、ロジカルに構築しましょうという事だけなのかもしれません。

その判断の責任は、自分にあります。