第1話 なぜならば

講座

ロジカルシンキングとは、次のように論理的に物事を考えることです。
たとえば
私は考える力が不足している
なぜならば ↓
考える方法を知らないから
なぜならば ↓
考えをつけるための方法を解説している本を読まないから
なぜならば ↓
本を読むのが嫌いだから


実際には、このように直列的に掘り下げることは難しいものです。
ですから、まずは、1つずつ考えを並列的に列挙します。

私は考える力が不足している ←決論や仮説など
なぜならば
・本を読むのが嫌い
・考える力は先天的なもの
・考える力をつける必要性を感じない
・考える力をつける方法を知らない

このように思いつくだけ列記してみます。

この並列になれたら、最初に示したように直列的に考える訓練をしてみてください。 この『なぜならば』を考え続けることが、基本です。

≪全てを常識を疑う、クリティカルシンキングが大切です。考えることをやめた時点で、終わってしまいます。≫

≪余談≫
◆非論理的な人の場合
 部長、今回の商品はなぜ売れるのですか。
とにかく、売ればいいんだよ
いや、それじゃなぜ売れるのか分かりませんが
いいから、俺を信じろ、とにかくこの商品は売れるんだからガンガンうってこい。

◆論理的な人の場合
営業の皆さん、今回の商品は必ず売れます。
なぜならば「最近のお客様ニーズ」を満たしているからです。
今から配る資料を見てください。
私が調べた「お客様ニーズ」の一覧表です。この一番目、これに見合った商品が今回の我社の商品になります。
さらに、このニーズを満たしている商品は他社にはありません。従って、売れることは間違いありません。

こう言われると納得できますね。

第2話 本質的な課題をみつける

講座

「なぜ、うちの営業所は売り上げが悪いんだ。きっと営業マンの努力が足りないからだ。とにかく訪問だ、訪問なくして売上アップはない。」 これでは、問題解決にはなりません。

≪私が、営業マンをしていた時、いつもこのように言われていました。≫

たとえば、売り上げが伸ばせない理由を考える時に。「なぜ、売上がのばないのか」という質問を繰り返します。
すると、次のような理由が考えられます。
・営業マンの行動量が足りない
・主力商品のライフサイクルが成熟期にある →本質的な課題
・既存のお客様からの紹介が減っている


考えているうちに、『本質的な課題』が見つかります。
つまり、
 成熟期に入っている主力商品を売ろうとしてもそもそもあまり売れない
→ 営業マンはやる気をなくして、行動量がへる
→ 行動量が減れば、お客様を紹介してもらえるチャンスも減る

ことになります。

 つぎに、「ではどうすべきか」を考えることになります。
そして、
「勢いのあるもっと売れる商品はないのか」 → その販売にシフトする
等の解決策を考えることになります。
この「本質的な課題」とは、全ての課題を解決できる課題の事です。論理的な思考によってこの課題を見つけることができます。
ビジネスの現場において、ロジカルシンキングができると
→ 課題・本質的な課題の解決策がわかる
→ その他、説得力が増す、プレゼンが上手になる

等の効果が考えられます。

第3話 グライダー

講座

日本人はロジカルシンキングが苦手です。その原因は、教育にもあるような気がします。
学校の生徒は、先生と教科書に引っ張られて勉強しています。自学自習という言葉はありますが、独力で知識を得るものではありません。たとえば、グライダーと同じようなものです。

 グライダーと飛行機、遠くから見ると同じような形で、空を飛ぶ姿はグライターのほうが美しいとも感じますが、自力で空を飛ぶことはできません。
グライダー人間を作るのが、教育の目的になっているのではないか。
飛行機人間が混ざっていると迷惑する。
従順さ、素直さが尊重され、「なぜ」と反抗するのは、規律違反、レッテルを貼られてしまう。

優等生は、グライダー人間として優秀なのです。
卒業間際になって、自分で人生を考えよと言われても、自分のエンジンで飛んだことがない人にとっては、難しいのが当たり前です。
 自力で自由に飛ぶことは、逆に辛いことです。全て自分で決定しなければなりません。そこで、自分を引っ張ってくれる飛行機を探すことになります。安心、安全を求めてしまいます。
 以前は、企業も、このグライダー人間を求めている傾向がありました。
今でも、規律や協調を求める企業が多いのも事実です。
しかし、最近の講座では、「自分で考えることのできる人間」をもとめている企業が増えてきました。 アサーションとか、プレゼンテーションとかの能力開発が盛んですし、コミュニケーションの大切さが強調されています。そのための基本的スキルが、ロジカルシンキングなのです。
 ロジカルシンキングは、この自己決定能力ともいえます。自分で考え、自分で決論を出し、その考えを論理的に説明する。そのためのツール、道具だと割り切って、学びましょう。

第4話 人の課題を分析する

講座

人を評価する場合、評価のポイントをきちんとわかっている事が大切です。この部下は仕事ができる、この部下はできないなどと、決めつけるのではなく、その部下のどこが問題なのかを、論理的に整理するのです。

 次の五つがポイントです。
【経験】→ 経験が不足しているからなのか
【意識】→ 意識が低いからなのか
【知識】→ 知識が足りないからなのか
【技術】→ 技術を身につけていないからなのか
【こだわり】→ 仕事に対するこだわりがあるからか


その人のせいにするのではなく、このように原因をわけて分析することで課題は解決できます。
ここに、感情を加えてはいけません。ただ一つの欠点で、全てを否定するようになります。
人を評価する時、たとえば「あなたは知識はあるが、経験が足りない」などといえば、相手は納得します。これがロジカルな話し方です。

≪余談≫
 建前では、その通りなのですが、これがなかなか難しいですね。
 とくに、「こだわり」に関しては、どうしても価値観の違いが関係してきます。このことを理解したうえで、ロジカルな考え方を心がけることが大切だということです。
 職業訓練施設で、CAD技術を教えていますが、上達するかしないかは、「意識」の差が大切であることをつくづく実感します。
 生徒には平等に話しているつもりなのですが、人によって理解度が全く違います。質問してくる生徒はまだよいのですが、講師に隠れて、私が教えていることと違う操作をしている生徒もいます。自分はわかっているつもりなのでしょうが、確実についてゆけなくなります。
 「自分で考えること」が大切だと思っていますから、厳しくは言いません。本人の自己責任だからです。
 言われたことができないのでは、何をやってもダメなのです。
 もちろん、言われたことができるのは当たり前。
 言われたことの意味を考えて、その目的を理解できるか。
 言われたこと以上の方法があるかどうかを考えることができるか。
ここまで考えることが、ロジカルシンキングの目的です。

第5話 なぜ三つとなぜ五回

講座

まず決論を述べます。そして、次のように言うのです。
「私はこう思います。その理由は、次の三つです。なぜならば・・・」
なぜならば 「なぜならば」を三つにまとめる  ←並列的に 
これがポイントです。説得力が増しますし、「こいつはできる」と思わせることができます。

そして、「なぜ五回」が、ロジカルシンキングの基本的スキルです。
考えを深めていくのです。

私は考える力が不足している
なぜならば ↓
考える方法を知らないから
なぜならば ↓
考えをつけるための方法を解説している本を読まないから
なぜならば ↓
本を読むのが嫌いだから


なぜを5回繰り返すことができるように習慣づける。
ロジカルシンキングの訓練になります。

さらに「紙に書けば、思考は止まらない」と言います。紙に書いてに自分の考えをまとめる癖をつけましょう。

≪ロジカルシンキングは、学問上の理論とは異なり、課題の設定から実行可能な対応策の考案、そして実際の行動の管理までの一連のプロセスを経て成果を上げていくという目的に使われます。 現代は、過去の理論や経験が通じないことが多々あります。 このロジカルシンキングは必要不可欠なものではないでしようか。≫

4つの思考スタンス
ロジカルシンキングには、次のような、是非とも心がけたい4つの思考スタンスがあります。
①仮説思考
②ゼロベース思考
②ポジティブ思考
④結論思考


それぞれに説明します。

第6話 ①仮説思考

「問題の答えを先に決めつけてしまう」

講座

問題を網羅的に解決しようとしたり、たくさんの情報を集めてから解決策を出すよりも、あらかじめ答えを決めて検証するやり方の方が仕事を効率的にできます。

そして、その効用は、
(1)情報洪水に溺れなくてすむ
(2)スピードアップ
(3)他人に状況がよく見える

です。
それが仮説思考です。

 そして、仮説を立てている人の方が結果として良い結果につながりやすいのです。
 仮説思考とは「ある時点で考えられる仮説をもとに行動する」という考え方です。その仮説を検証し、課題の解決策を導びき、仮説が間違っていたら、新たな仮説を立てて検証していきます。
 やみくもに行動するより、仮説を立てて行動した方が、資源や時間を効率的に使うことができます。仮説がないまま行動すると、思いつくもの全てを実行に移そうとしたり、行動にモレが生じたり可能性があります。
 ただし、仮説思考において重要なことは、仮説の検証に時間をかけすぎないことです。
 なぜなら、本来の目的は仮説が100%正しいことを証明することではなく、仮説の積み上げによって得られる迅速な対応策だからです。

仮説思考のイメージ
① 仮説を立てる
② その仮説を立証するには何が言えればよいか
③ 仮説立証のために言いたいことが言える情報を集める
④ 集めた情報を解釈して言いたいことを導きだす
→仮説が立証できそうにない場合は、もう一度仮説を立て直す


 網羅的に考えるよりも仮説を置いて考える方が、分析・調査の無駄が少なくなるため、精度のよい仮説思考を身につけることは仕事のスピードアップにつながります。
 よく分析が上手だと言われる人がいますが、実は分析が上手な人は、仮説を作るのが上手だと言われています。
 また、ビジネスが上手な人も実は精度のよい仮説を持っている人だと言われています。

第7話 ①仮説の作り方

「問題の答えを先に決めつけてしまう」

講座

まずは、仮説を作る前に
自分が何を知りたいのか?どういうことをしたいのか?
を考えます。その上で、その目的に沿った仮説を構築します。
 精度のよい仮説を立てるには、マーケットへの見識など対象分野での知識の幅が広い方が有利です。しかし、仮説思考を身につけるためには、精度が少々低くてもまずは仮説を立ててみることが重要です。

仮説を立てる際には、次の点に注意が必要です。
①目の前のデータだけに飛びついて仮説を立てない
(仮説を立てる本来の目的を押さえ、考えるべき点を漏らさない)
②抽象的な答えしか返ってこない仮説を立てない
(価格を下げれば売れるだろうでは、具体的なアクションにつながらない。○○円より下げれば売れるだろうという仮説にする)
③立証できても、だから何?という仮説にしない
(40歳の人は、39歳の人よりも倹約家だとわかっても、実際に活かせるか疑問)

仮説ができたらピラミッド構造を活用する
①仮説ができれば、次に②その仮説を言うために何を言えればいいのかを考えます。そして、③それを言うためには、どんなデータを集めるかを考えていきます。
これにはピラミッド構造が大いに活用できます。
たとえば、①仮説 → 自社は事業から撤退すべき
②何を言えば良いか
・ 市場の見通しは暗い
・ 競合他社は特色が明確でシェアが高い
・ 自社の強みが生かせない

③その証明のためのデータ収集
そして、仮説は、8割程度実証できればよいと考えられます。
逆に、あまり精緻に分析して8割を9割の精度にするのは意味がないと考えられています。なぜなら、8割を9割の精度にするのは時間がかかる割に、アクションには大きな影響を与えないことが多いからです。

第8話 ②ゼロベース思考

「既成概念を取り払い、一から最善の答えを見つけ出す」

講座

環境変化の激しい現代では、1年前の当たり前が今日に通じないということが往々にしてあります。
また、前例の修正だけで、解決できる問題ならば良いのですが、それすら通じないことが起こり得ます。そのため、過去の情報は一度白紙に戻してゼロベースで考えるということが重要になってくるのです。
また、ゼロベース思考をすることにより、これまでより思考の枠が広がり、今までは考えもつかなかった解決法が見出せる可能性があります。

 ただ、良いとわかっているゼロベース思考を人は嫌がることがよくあります。なぜなら一度システムが出来上がると、それによって恩恵を得る人が出て、そういった人がゼロベースでの対応に拒否反応を示してしまうからです。
 また、ゼロベース思考を推進するのは大変なエネルギーがいるため、現在の延長線上で物事を考えた方が楽というのも、ゼロベース思考に拒否反応を示す要因になります。
 ゼロベース思考の問題解決手法では、まずはこれまでの習慣や常識を疑って、破壊することから始めます。
 たとえば、『注文量が増えれば割引率を増やすという業界の習慣は絶対か?』という質問を投げかけて、他の方法をいろいろと模索してみます。
次に明確な目標設定をします。
たとえばこの場合はお互いのリスクを最小化できるWIN-WINのポイントはどこかという落とし所を探ります。
そして、最後にその目標を達成するための方法を考えます。
 このようにして既存の習慣にとらわれて解決できない問題がゼロベース思考を行うことによって、解決することができるのです。
 ゼロベース思考は、このように固定観念を否定することによって、広い視野をもって物事を客観化することができ、問題解決の可能性を拡大させたり、創造的な問題解決方法を生み出すことができるのです。

第9話 ③ポジティブ思考

「いまよりも良い解決策が存在する」

講座

「次は良い結果になるさ」という楽観的な思考、概念とは異なります。
ビジネスでは、ベストの答えは存在しません。なぜなら、その時点のベストは、環境が変わればベストな答えではないからです。このあたりは、仮説思考の場合と同じで、100%を目指すのではなく、あくまで限られた時間の中で、ベターな対応策を見つけることが重要になります。

 思考はその都度その状況で選び選択するものです。
 あることが起これば、それに対してどう考えるのか。どんな選択かといえば、ポジティブな選択とネガティブな選択です。どんな時もこの選択をわたしたちは問われて生きています。
 ポジティブというのは自分の心のエネルギー、セルフイメージが大きくなることを差します。つまり自分の機嫌をよくするための思考の選択をポジティブと呼んでいます。
「いやなこととは意味のあること」であり、自分にとって不快なできごと、悲しいできごと、などは何か意味があるからわが身に起こるとかんがえます。その意味を考えてみると気持ちの切替もできるし、そのできごとを受け止めることができます。これが、ポジティブなエネルギーです。
一方、ポジティブな概念とは潜在意識の中にある自分の思考や行動に影響する信念や固定化された考えです。
 故松下幸之助翁の言葉で「運が良い人っていうのは自分は運が良いと勝手に思い込んでいる人だ」っていうのがあります。すなわち、思い込みですね。
 これがポジティブな人もいればネガティブな人もいます。環境や経験や他人によって次第に出来があってきたものです。
 このポジティブな概念は思考や行動の方向性を決定して人生をそちらのほうへ進めていくという習性があります。 だから、潜在意識にしたがって物事は進むということになります。

第10話 ④結論思考

結論からアウトプットする思考法

講座

結果を最初に考えるという意味で、仮説思考に似ていますが、考え方だけでなく「アウトプットの仕方としても結論から最初に考える」ことは重要です。

 結論思考でアウトプットすると、相手に対して非常に明快な印象を与えることができます。
例えば、人に「A商品はいつできそうか?」と聞いたときに明快な感じを与える次のどちらでしょう。
A「まず、1ヶ月かけてユーザーヒアリングをして、基礎設計に1ヶ月必要です。その後、試作と評価に2ヶ月、量産移行には3ヶ月かかるので、来年の2月くらいになりそうです。」
B「来年の2月になりそうです。まず、1ヶ月かけて・・・(以下 同上)」
よほど気の長い人でない限り、Bを好むと思います。
Bだと結論からアウトプットしているので、後の話をスムーズに聞く(あるいは聞き流す)ことができます。 一方、Aだと結論が出るまでずっと集中して耳を傾けなければなりません。
人に何かを報告する場合でも、結論から言うとわかりやすくなります。

「A試験の結果は問題なしです」、「当社はA社に市場の10%のシェアを奪われました」など、結論を先に言うと、その後の詳細の説明がすんなり受け入れられます。

≪余談≫
以前、「なぜ三つ」の話をしましたが、先に決論を述べ、その理由を三つにまとめて、「まず第一に・・・」というふうに説明します。これが、もっとも説得力があります。
 そして、この思考方法は、自信がないと難しいです。また、自信がそんなになくても、この話し方をすると自信があるように、相手が感じます。
 決論が出れば、そこでこの議論は終了します。時間的な無駄も解消できます。